1
00:01:13,783 --> 00:01:19,622
どんな時も ありのままの
自分だけを描いてきた

2
00:01:22,124 --> 00:01:25,127
他の方法では語れない

3
00:01:28,881 --> 00:01:31,884
必要だから絵を描く

4
00:02:55,467 --> 00:02:59,471
フリーダ
~愛と痛みを生きた肖像~

5
00:03:04,852 --> 00:03:09,273
フリーダ・カーロは
自分の人生に関して―

6
00:03:09,356 --> 00:03:15,195
手紙や詩や絵日記で
さまざまな証言を書き残した

7
00:03:16,822 --> 00:03:20,826
これらは彼女自身の
“言葉”である

8
00:03:37,551 --> 00:03:41,305
“色”が命を持ち
生きる助けになるなんて

9
00:03:41,388 --> 00:03:43,515
思いもしなかった

10
00:03:47,519 --> 00:03:50,731
メキシコは私のすべてだった

11
00:03:53,943 --> 00:03:56,153
私は幸せだった

12
00:03:57,780 --> 00:04:00,616
1910年

13
00:04:06,288 --> 00:04:10,626
私は家の中庭を
元気いっぱいに駆け回り―

14
00:04:11,126 --> 00:04:15,756
レモンの木の下で
大はしゃぎして笑った

15
00:04:33,732 --> 00:04:36,986
母は宗教に関して
ヒステリックだった

16
00:04:37,861 --> 00:04:41,448
家に司祭を招いて
ミサを開き―

17
00:04:41,573 --> 00:04:45,119
信徒を集めて
ロザリオの祈りを唱えた

18
00:04:46,704 --> 00:04:49,081
みんなが黙祷もくとうする間―

19
00:04:49,873 --> 00:04:52,876
静かにするのは つらかった

20
00:04:57,131 --> 00:05:01,927
聖書の中の神秘の意味を
大人たちに質問すると―

21
00:05:03,095 --> 00:05:04,513
いつも答えは同じ

22
00:05:04,596 --> 00:05:09,184
“すべては
もっと神に身を捧げるため”

23
00:05:21,905 --> 00:05:26,535
それでも私は
司祭を質問責めにした

24
00:05:27,870 --> 00:05:29,913
“キリストは
どう生まれたの?”

25
00:05:31,540 --> 00:05:35,169
“聖母マリアは
本当に処女だった?”

26
00:05:41,091 --> 00:05:45,179
他の子が混乱すると言われ
追い出された

27
00:05:52,352 --> 00:05:54,772
父は写真家だった

28
00:05:55,022 --> 00:05:58,442
私は父のスタジオに
魅了された

29
00:06:00,402 --> 00:06:05,199
父は無神論者で
家族で唯一 読書をした

30
00:06:05,783 --> 00:06:10,996
科学や地理や歴史
いろんな本を読んでいた

31
00:06:17,252 --> 00:06:20,380
父の後をついて
どこへでも行った

32
00:06:21,965 --> 00:06:25,719
父は川辺で
小さな風景画を描いた

33
00:06:26,762 --> 00:06:29,848
水彩や油彩を使って

34
00:06:36,146 --> 00:06:41,610
父は油彩絵の具の箱を
スタジオに置いていた

35
00:06:43,487 --> 00:06:46,824
私はその箱を狙っていた

36
00:06:52,871 --> 00:06:54,206
緑

37
00:06:54,623 --> 00:06:57,584
“暖かく心地よい光”

38
00:06:59,169 --> 00:07:00,838
赤紫

39
00:07:01,380 --> 00:07:03,006
“アステカの色”

40
00:07:04,550 --> 00:07:08,470
“サボテンの実の
古びた血の色トラパリ”

41
00:07:09,930 --> 00:07:11,181
茶色

42
00:07:11,640 --> 00:07:13,100
“モレの色”

43
00:07:14,017 --> 00:07:15,269
“大地の色”

44
00:07:16,937 --> 00:07:18,355
黄色

45
00:07:18,981 --> 00:07:22,192
“太陽と喜びの一部”

46
00:07:30,117 --> 00:07:33,453
私は色の世界を
自由に歩き回り―

47
00:07:34,538 --> 00:07:36,623
触れて感じ取った

48
00:07:41,211 --> 00:07:44,089
世界は謎に満ちていた

49
00:07:55,267 --> 00:07:59,313
謎を解き 学ぶことは
楽しかった

50
00:08:21,793 --> 00:08:23,712
私は医師になりたくて―

51
00:08:23,879 --> 00:08:27,424
“メキシコ国立大学
予科高校 1922年”

52
00:08:24,922 --> 00:08:27,424
予科高校に入学した

53
00:08:27,424 --> 00:08:28,550
“メキシコ国立大学
予科高校 1922年”

54
00:08:32,721 --> 00:08:38,727
他の女の子たちと同じ階に
行かされるのが嫌だった

55
00:08:39,937 --> 00:08:44,358
女の子たちは
私を“変わり者”と呼ぶ

56
00:08:48,320 --> 00:08:52,449
だから“カチューチャス”の
仲間になった

57
00:08:56,370 --> 00:09:01,416
全員 縁なし帽カチューチャをかぶり
女の子は私だけだった

58
00:08:59,790 --> 00:09:05,587
“カチューチャ9番
フリーダ・カーロ”

59
00:09:11,426 --> 00:09:17,391
フリーダは学校になじめず
伝統的な慣習に反発した

60
00:09:12,135 --> 00:09:17,391
級友 アレハンドロ・
ゴメス・アリアス

61
00:09:20,352 --> 00:09:25,023
だから規律を嫌う男たちとの
親交を求めて―

62
00:09:26,233 --> 00:09:28,652
僕らに近づいてきた

63
00:09:39,621 --> 00:09:43,166
メンバーの後を
ついて回り―

64
00:09:43,583 --> 00:09:47,421
いろんな“いたずら”に
参加した

65
00:09:57,681 --> 00:10:02,811
爆竹をくくりつけた犬を
学校の中に放した

66
00:09:58,181 --> 00:10:02,811
級友 バルタサール・
ドロムンド

67
00:10:02,811 --> 00:10:02,853
爆竹をくくりつけた犬を
学校の中に放した

68
00:10:05,105 --> 00:10:07,482
大騒ぎになって―

69
00:10:07,691 --> 00:10:10,569
全クラスが停学になった

70
00:10:13,488 --> 00:10:18,118
廊下にいたフリーダは
死ぬほど大笑いした

71
00:10:24,124 --> 00:10:27,753
自分のではなく
彼らの授業に出席した

72
00:10:28,045 --> 00:10:33,550
単位を取るのに苦労し
試験でカンニングをした

73
00:10:43,435 --> 00:10:47,022
アレハンドロは
学生の代弁者だった

74
00:10:47,314 --> 00:10:51,443
あらゆる学生デモに参加した

75
00:10:53,362 --> 00:10:56,823
私は知性ある人に惹ひかれた

76
00:10:57,908 --> 00:11:02,662
自分より優れていると
感じた人を選んだ

77
00:11:04,456 --> 00:11:06,083
私のアレックス

78
00:11:06,875 --> 00:11:08,877
愛いとしいアレックス

79
00:11:09,836 --> 00:11:11,505
私のアレックス

80
00:11:14,716 --> 00:11:17,511
体を奪ってほしかったけれど

81
00:11:17,969 --> 00:11:20,472
彼は美しい言葉を語った

82
00:11:20,597 --> 00:11:24,976
私に詩を読み
キスをして抱きしめた

83
00:11:28,105 --> 00:11:31,858
あなたが喜ぶなら
どんなことも素敵

84
00:11:37,572 --> 00:11:39,408
息アリエント

85
00:11:40,784 --> 00:11:42,619
香りアロマ

86
00:11:43,203 --> 00:11:45,038
わきの下アクシラ

87
00:11:45,664 --> 00:11:47,499
愛アモール

88
00:11:48,542 --> 00:11:50,377
奈落アビスモ

89
00:12:11,606 --> 00:12:14,609
1925年

90
00:12:23,034 --> 00:12:27,581
その日はアレハンドロと
バスに乗った

91
00:12:29,833 --> 00:12:34,713
私は手すり近くの席に
アレハンドロは隣に座った

92
00:12:36,131 --> 00:12:39,301
乗ってまもなく事故が起きた

93
00:12:42,888 --> 00:12:45,724
路面電車が近づいてきて―

94
00:12:43,472 --> 00:12:48,226
恋人 アレハンドロ・
ゴメス・アリアス

95
00:12:47,100 --> 00:12:48,727
バスに横から衝突した

96
00:12:51,688 --> 00:12:55,108
バスは奇妙な弾力性を発揮し―

97
00:12:56,401 --> 00:12:58,945
車体は たわみ続けた

98
00:12:59,863 --> 00:13:03,158
弾力性の限界に達した時―

99
00:13:03,241 --> 00:13:05,035
粉々に砕けた

100
00:13:12,876 --> 00:13:14,878
激しい衝撃ではなく―

101
00:13:16,505 --> 00:13:20,091
静かにゆっくり ぶつかった

102
00:13:21,176 --> 00:13:24,471
手すりが私の体を貫いた

103
00:13:25,013 --> 00:13:27,098
雄牛を刺す剣のように

104
00:13:30,268 --> 00:13:33,396
衝突に気づくはず
というのはウソ

105
00:13:34,940 --> 00:13:37,150
泣き叫ぶはずというのも

106
00:13:38,610 --> 00:13:40,445
私に涙はなかった

107
00:13:43,573 --> 00:13:48,119
どんなケガをしたのか
想像もつかず―

108
00:13:49,454 --> 00:13:53,542
深刻な結果にはならないと
信じていた

109
00:13:59,923 --> 00:14:02,050
僕は電車の下にいた

110
00:14:04,427 --> 00:14:09,474
何とか這はい出して
すぐにフリーダを捜した

111
00:14:12,602 --> 00:14:18,441
恐ろしいことに彼女の体には
鉄の棒が刺さっていた

112
00:14:19,526 --> 00:14:22,362
1人の男が助けようとして―

113
00:14:22,612 --> 00:14:26,533
フリーダの体から
棒を引き抜いた

114
00:14:30,161 --> 00:14:32,163
フリーダの悲鳴は―

115
00:14:33,498 --> 00:14:36,960
救急車のサイレンを
かき消した

116
00:14:39,170 --> 00:14:43,174
“衝突でバスが粉々に”

117
00:14:49,264 --> 00:14:52,100
医師たちは絶望的と見た

118
00:15:09,075 --> 00:15:14,497
骨盤や足の複数の骨折が
治るまでには―

119
00:15:15,040 --> 00:15:17,959
かなりの時間が必要だ

120
00:15:22,088 --> 00:15:26,843
医師が言うには
ベッドで安静にしたまま―

121
00:15:27,594 --> 00:15:30,597
3~4ヵ月かかる

122
00:15:39,856 --> 00:15:44,361
今 私は痛みの惑星に
住んでいる

123
00:15:45,945 --> 00:15:49,866
まるで氷のように透明で―

124
00:15:51,284 --> 00:15:53,495
すべてが むき出しの世界

125
00:16:07,133 --> 00:16:09,260
私は衝突に壊された

126
00:16:10,136 --> 00:16:12,389
でも死神には勝った

127
00:16:16,685 --> 00:16:20,563
“絶望しないで”と
みんなは言う

128
00:16:24,317 --> 00:16:28,321
でも遊び歩くのが大好きな
私にとって―

129
00:16:29,239 --> 00:16:34,369
どれほどつらいことか
みんなには分からない

130
00:16:40,458 --> 00:16:44,796
病室を囲む4枚の壁が
私を絶望させる

131
00:16:46,589 --> 00:16:51,261
自分の魂と
2人きりで過ごすしかない

132
00:17:00,186 --> 00:17:04,274
母は私のために
木の装置を用意した

133
00:17:04,399 --> 00:17:08,820
それに画用紙を
取り付けられるように

134
00:17:10,238 --> 00:17:13,241
そして天井に鏡を付けた

135
00:17:13,324 --> 00:17:18,329
私がそれを見て
自分をモデルにできるように

136
00:17:21,040 --> 00:17:24,085
まず友人たちを描いた

137
00:17:28,798 --> 00:17:30,925
大好きなアウグスティン

138
00:17:31,009 --> 00:17:34,304
愛を込めて あなたを描いた

139
00:17:37,515 --> 00:17:39,976
素敵なアリシア

140
00:17:40,351 --> 00:17:45,064
友人の愛を受け取って
フリドゥーチャより

141
00:17:47,525 --> 00:17:50,487
親友ミゲル

142
00:17:50,904 --> 00:17:55,366
“カチューチャ9番”を
忘れないで フリーダ

143
00:17:57,368 --> 00:17:58,828
アレックス

144
00:17:59,621 --> 00:18:01,915
私を忘れないように

145
00:18:03,041 --> 00:18:05,084
手紙も書き続けて

146
00:18:09,547 --> 00:18:12,258
私の自画像を贈ります

147
00:18:12,759 --> 00:18:15,512
近いうちに家に届くはず

148
00:18:16,846 --> 00:18:21,226
どこか低い場所に
飾ってほしい

149
00:18:21,935 --> 00:18:26,231
目の前に私がいるみたいに
見えるように

150
00:18:47,460 --> 00:18:50,129
1927年

151
00:18:53,967 --> 00:18:57,220
ギプスをして1年が過ぎた

152
00:18:57,595 --> 00:19:02,642
まだ痛みは消えないし
体力は衰えたまま

153
00:19:04,185 --> 00:19:08,898
でもわずかに残った健康を
役立てるために―

154
00:19:09,482 --> 00:19:12,527
戦うべきだと思う

155
00:19:15,238 --> 00:19:18,658
1910年

156
00:19:24,497 --> 00:19:29,419
メキシコ革命が起こった時
私は状況を理解した

157
00:19:31,337 --> 00:19:36,009
サパタ派の農民が
カランサ軍と戦ったのを―

158
00:19:36,092 --> 00:19:38,511
4歳の時に目撃していた

159
00:19:43,141 --> 00:19:48,354
金持ちの独占に耐えかねて
農民は武器を取った

160
00:19:43,683 --> 00:19:48,354
革命指導者
エミリアーノ・サパタ

161
00:19:49,647 --> 00:19:51,441
土地と自由のために

162
00:19:56,237 --> 00:19:58,573
メキシコで“勇気”とは―

163
00:19:58,656 --> 00:20:03,077
理不尽に対して
荒々しく立ち向かうこと

164
00:20:09,709 --> 00:20:12,754
私には人々の痛みが分かる

165
00:20:13,504 --> 00:20:17,258
彼らのために戦うため
生きなければ

166
00:20:18,384 --> 00:20:23,181
だから事故の後
歩く許可が出るとすぐに―

167
00:20:23,348 --> 00:20:25,975
共産党に入った

168
00:20:33,816 --> 00:20:37,028
“メキシコ絵画の
新たな価値”

169
00:20:37,195 --> 00:20:40,615
“芸術と革命”

170
00:20:40,782 --> 00:20:44,202
“先住民の生活を
讃たたえるフレスコ画”

171
00:20:47,538 --> 00:20:51,501
ダビド・アルファロ・
シケイロス

172
00:20:51,709 --> 00:20:54,671
ホセ・クレメンテ・
オロスコ

173
00:20:54,837 --> 00:20:57,548
ディエゴ・リベラ

174
00:20:57,674 --> 00:21:02,303
メキシコ革命で抱いた
鮮烈な感情が―

175
00:21:02,887 --> 00:21:05,974
私の決意の基盤となった

176
00:21:28,955 --> 00:21:33,960
ディエゴは教育省の依頼で
フレスコ画を描いていた

177
00:21:44,554 --> 00:21:47,932
“壁画の巨匠”

178
00:21:48,558 --> 00:21:50,393
共産主義者で―

179
00:21:50,977 --> 00:21:56,190
創造的エネルギーのすべてを
社会革命に注いでいた

180
00:21:56,357 --> 00:22:00,611
“土地と自由を”

181
00:22:00,778 --> 00:22:04,407
“メキシコを描く
メキシコ人”

182
00:22:05,450 --> 00:22:07,452
優れた感性を持ち―

183
00:22:08,911 --> 00:22:12,165
美しいものは何でも称賛した

184
00:22:13,291 --> 00:22:18,171
女性の美しさも
山の美しさも同じように

185
00:22:37,523 --> 00:22:42,612
遠目に見ただけだったけれど
強く惹かれた

186
00:22:44,155 --> 00:22:49,827
ある日 4枚の絵を持って
いきなり声を掛けた

187
00:22:50,411 --> 00:22:52,997
“ディエゴ 下りてきて”

188
00:22:55,083 --> 00:22:59,670
足場から振り向くと
18歳の女の子がいた

189
00:22:55,541 --> 00:22:59,670
ディエゴ・リベラ

190
00:22:59,670 --> 00:23:00,379
足場から振り向くと
18歳の女の子がいた

191
00:23:02,006 --> 00:23:06,094
すらりとした体に
賢そうな顔立ちだった

192
00:23:09,013 --> 00:23:12,558
あなたが女たらしなのは
知ってますが

193
00:23:13,184 --> 00:23:17,396
誘惑しにではなく
絵を見せに来ました

194
00:23:19,941 --> 00:23:24,320
悪い感想でも
正直に言ってください

195
00:23:24,612 --> 00:23:28,032
そうしたら
他の仕事を探すので

196
00:23:31,661 --> 00:23:34,497
ひと目で絵に魅了された

197
00:23:34,831 --> 00:23:38,793
表現のエネルギーに
満ちていた

198
00:23:39,377 --> 00:23:43,923
“絵を続けたほうがいい”
即座にそう答えた

199
00:23:44,966 --> 00:23:48,302
“君には才能がある”と
言われた

200
00:23:49,804 --> 00:23:53,641
それからディエゴとの
恋愛が始まった

201
00:24:17,415 --> 00:24:20,418
ディエゴは大きな子供のよう

202
00:24:20,626 --> 00:24:24,630
大きなギョロ目は
絶えず動き続ける

203
00:24:24,797 --> 00:24:29,510
まるで画家のために
特別に作られたかのように

204
00:24:31,345 --> 00:24:35,183
分厚い唇は どんな時も―

205
00:24:36,058 --> 00:24:39,979
皮肉っぽく優しい笑みを
たたえていた

206
00:24:41,856 --> 00:24:44,567
彼の話を
楽しそうに聞いていた

207
00:24:42,607 --> 00:24:46,444
級友 アデリーナ・
センデハス

208
00:24:44,817 --> 00:24:46,444
彼をからかい―

209
00:24:46,444 --> 00:24:48,321
級友 アデリーナ・
センデハス

210
00:24:46,527 --> 00:24:50,489
ナンセンスなことを言わせた

211
00:24:51,991 --> 00:24:56,495
ディエゴの新しい女性は
とても若かった

212
00:24:52,491 --> 00:24:56,954
ディエゴの友人
バートラム・ウルフ

213
00:24:58,331 --> 00:25:01,167
すぐに彼は壁画に描いた

214
00:25:02,752 --> 00:25:05,254
“君は犬顔だ”と
彼が言うと―

215
00:25:06,005 --> 00:25:09,467
“あなたはカエル顔ね”と
彼女も返した

216
00:25:09,759 --> 00:25:11,093
カエル顔

217
00:25:11,219 --> 00:25:13,179
喜んでそう呼んだ

218
00:25:13,888 --> 00:25:15,264
ののしる時は...

219
00:25:15,389 --> 00:25:16,807
太っちょ

220
00:25:16,891 --> 00:25:18,643
愛を込める時は...

221
00:25:18,768 --> 00:25:20,269
ディエゴ君ディエギート

222
00:25:21,604 --> 00:25:24,941
絵に対する意見を
彼女に求めると―

223
00:25:25,650 --> 00:25:28,527
時には辛辣しんらつに批判された

224
00:25:29,612 --> 00:25:34,242
彼は機嫌を損ねつつも
指摘された箇所を修正した

225
00:25:38,829 --> 00:25:41,457
男みたいな服を
着てたけれど―

226
00:25:44,460 --> 00:25:49,632
ディエゴと会ってからは
民族衣装のテワナを着た

227
00:26:04,230 --> 00:26:08,859
色を引き出す原子の塊を
“助色団”という

228
00:26:09,610 --> 00:26:14,031
私は色を発する“発色団”だ

229
00:26:24,041 --> 00:26:27,044
“ディエゴ”

230
00:26:37,638 --> 00:26:41,642
“ディエゴ・リベラが結婚”

231
00:26:42,852 --> 00:26:49,108
“まるで象と鳩の結婚”
みんなにそう言われた

232
00:27:00,870 --> 00:27:02,872
男の子が欲しい

233
00:27:04,081 --> 00:27:06,500
男は自分自身を守れる

234
00:27:08,461 --> 00:27:10,880
ディエゴに似た子がいい

235
00:27:13,632 --> 00:27:18,471
女の子なら
少しだけ私に似ていて―

236
00:27:19,722 --> 00:27:21,349
私より美人がいい

237
00:27:30,733 --> 00:27:35,029
ディエゴの制作現場へ
毎日 足を運んだ

238
00:27:36,655 --> 00:27:41,160
花で飾ったカゴに
食べ物を入れて持っていくと―

239
00:27:41,243 --> 00:27:43,120
とても喜んだ

240
00:27:52,338 --> 00:27:55,883
政府からの仕事をする間は―

241
00:27:56,217 --> 00:28:00,763
1週間のうち6日間
毎日18時間 仕事をした

242
00:28:04,517 --> 00:28:07,395
ある時 画商がやって来て―

243
00:28:07,520 --> 00:28:11,816
ニューヨーク近代美術館での
個展を提案された

244
00:28:11,899 --> 00:28:13,901
私は興奮した

245
00:28:15,528 --> 00:28:20,783
現代美術家にとって
プロとしての成功の頂点だ

246
00:28:21,784 --> 00:28:25,329
1931年

247
00:28:33,921 --> 00:28:39,093
この街には
私たちの大陸の強さと力―

248
00:28:39,885 --> 00:28:43,889
そして栄光と若さがある

249
00:28:45,808 --> 00:28:48,894
“ディエゴ・リベラが
ニューヨークに登場”

250
00:28:49,770 --> 00:28:53,023
メキシコから
リベラ画伯が到着

251
00:28:54,316 --> 00:28:59,071
小鳥のような夫人が
背後でほほえみます

252
00:29:01,449 --> 00:29:04,160
ニューヨークは巨大だった

253
00:29:04,577 --> 00:29:08,205
人間が作った街とは
思えないほど

254
00:29:11,584 --> 00:29:15,629
ホテルはセントラルパークの
向かいだった

255
00:29:16,297 --> 00:29:19,216
五番街の隣のブロックだ

256
00:29:30,978 --> 00:29:35,566
ニューヨークには
もっと面白い地区がある

257
00:29:39,278 --> 00:29:43,741
ハーレムは
すばらしい場所だった

258
00:29:51,415 --> 00:29:55,628
世界中からの
移民コミュニティーがある

259
00:29:58,714 --> 00:30:03,427
中華街の祭りは
メキシコの祭りに似ている

260
00:30:03,719 --> 00:30:06,847
花火に色鮮やかな電飾

261
00:30:12,478 --> 00:30:15,272
“パーク・アベニュー”

262
00:30:19,693 --> 00:30:22,988
私たちは熱烈に歓迎され―

263
00:30:23,447 --> 00:30:27,493
会議や食事会やパーティーで
祝賀を受けた

264
00:30:28,160 --> 00:30:30,996
ここでのディエゴはクソ大物

265
00:30:32,665 --> 00:30:38,629
上流社会の連中は驚くほど
愚かな暮らしをしている

266
00:30:39,922 --> 00:30:43,759
口から出るのは たわごとや―

267
00:30:43,926 --> 00:30:46,762
お金の自慢ばかり

268
00:30:49,306 --> 00:30:53,102
それに服を
たくさん持たねばならない

269
00:30:53,394 --> 00:30:58,274
見下されるから
貧相な格好はできない

270
00:31:01,902 --> 00:31:04,321
でも今はメキシコが旬だ

271
00:31:04,822 --> 00:31:08,200
私の服は人々の注目の的

272
00:31:08,826 --> 00:31:11,495
みんな 口を開けて驚いてる

273
00:31:12,246 --> 00:31:16,750
愚かすぎて
何にでも流されるみたい

274
00:31:28,387 --> 00:31:32,600
ディエゴは2ブロック先で
絵を描いている

275
00:31:42,735 --> 00:31:45,195
私も絵を描いて過ごしている

276
00:31:47,865 --> 00:31:53,078
ディエゴから
強く影響を受けた絵を

277
00:31:57,625 --> 00:32:02,880
彼の絵に忠実に
うまく描こうと努力している

278
00:32:09,219 --> 00:32:12,890
彼女は色鮮やかな絵を
描いていたけれど

279
00:32:10,012 --> 00:32:15,476
友人
ルシール・ブランチ

280
00:32:13,057 --> 00:32:15,476
見てとは言わなかった

281
00:32:16,518 --> 00:32:19,355
自分の絵に関しては
シャイだった

282
00:32:20,522 --> 00:32:23,317
自分を画家とは思っておらず―

283
00:32:23,525 --> 00:32:27,029
ディエゴに
同行しただけだった

284
00:32:30,783 --> 00:32:36,205
“喜々として絵画をたしなむ
壁画の巨匠の妻”

285
00:32:47,174 --> 00:32:50,844
この街での冬は悲惨だ

286
00:32:51,970 --> 00:32:55,474
ほんの数時間で
街が真っ白になり―

287
00:32:55,724 --> 00:32:58,477
それでも人々は歩き続ける

288
00:33:00,062 --> 00:33:05,693
でも私は背骨の湾曲のせいで
あまり歩けない

289
00:33:09,238 --> 00:33:11,657
いつも炎症を抱え―

290
00:33:12,199 --> 00:33:15,494
体力がなく疲れている

291
00:33:30,426 --> 00:33:32,428
毎日 私は1人きり

292
00:33:32,970 --> 00:33:36,473
ディエゴは絵を描いてばかり

293
00:33:37,516 --> 00:33:40,436
そして
仕事に関連した“用事”に―

294
00:33:40,519 --> 00:33:42,980
精を出している

295
00:33:45,065 --> 00:33:48,652
“ディエゴ 私は孤独よ”

296
00:33:52,906 --> 00:33:55,200
私は不実な夫だった

297
00:33:56,702 --> 00:34:00,038
つい移り気を起こし
間違いを犯す

298
00:34:00,664 --> 00:34:05,377
女たちは魅力的すぎて
抗あらがえなかった

299
00:34:09,465 --> 00:34:15,471
気に入った女性がいたら
自由に口説きたかった

300
00:34:19,725 --> 00:34:22,561
フリーダは
浮気は気にしなかった

301
00:34:22,895 --> 00:34:27,775
ただ彼女より劣った女性を
選ぶことが―

302
00:34:27,858 --> 00:34:29,860
理解できなかったのだ

303
00:34:34,573 --> 00:34:37,743
ある女性が
ディエゴに言い寄ると―
友人
ルシール・ブランチ

304
00:34:39,203 --> 00:34:42,498
フリーダは
おかしな歌を歌い始めた

305
00:34:49,004 --> 00:34:54,426
どんどんエスカレートして
ユーモアを爆発させて

306
00:34:55,761 --> 00:34:59,348
ディエゴの関心を
女性から奪った

307
00:35:00,516 --> 00:35:03,519
フリーダは
やり方を心得てた

308
00:35:18,242 --> 00:35:20,327
本気で腹が立った

309
00:35:20,410 --> 00:35:23,372
正直に言うと嫉妬した

310
00:35:26,625 --> 00:35:31,839
女たちとの情事を
愚かな私は理解できない

311
00:35:32,214 --> 00:35:36,134
英語の女教師やモデルたち

312
00:35:36,468 --> 00:35:40,138
“画法”に興味を持つ
弟子たち

313
00:35:40,347 --> 00:35:42,850
どれもただの遊びなのに

314
00:35:44,768 --> 00:35:49,356
派手にケンカして
ののしり合っても―

315
00:35:49,481 --> 00:35:52,818
あなたを
命より愛してることを―

316
00:35:52,943 --> 00:35:56,280
ますます深く悟るだけ

317
00:35:56,530 --> 00:35:59,366
あなたも少しは私を―

318
00:36:00,576 --> 00:36:03,579
愛してくれてる
そうでしょ?

319
00:36:08,959 --> 00:36:14,089
“近代美術館で
リベラ展 開催”

320
00:36:14,256 --> 00:36:16,216
“ニューヨーク近代美術館”

321
00:36:22,222 --> 00:36:24,933
ディエゴの個展は大成功

322
00:36:28,478 --> 00:36:32,316
連日2000~3000人が
押し寄せた

323
00:36:36,069 --> 00:36:39,156
新しい仕事が次々と舞い込み

324
00:36:39,823 --> 00:36:41,867
デトロイトへ招かれた

325
00:36:51,001 --> 00:36:53,503
私はメキシコに帰りたいけど

326
00:36:54,338 --> 00:36:59,468
ディエゴには産業壁画を
描くという夢がある

327
00:37:09,061 --> 00:37:13,398
フォード氏が委員長を務める
市の芸術委員会から―

328
00:37:13,732 --> 00:37:17,861
デトロイト美術館での
壁画制作を頼まれた

329
00:37:19,571 --> 00:37:21,531
提示された報酬は―

330
00:37:22,032 --> 00:37:25,827
私の仕事の中で
最高の額になるだろう

331
00:37:43,470 --> 00:37:48,684
ディエゴは工場や機械に
夢中になった

332
00:37:50,602 --> 00:37:53,730
新しいオモチャのように

333
00:38:05,534 --> 00:38:10,998
愚かな金持ちのために
働くことになった

334
00:38:14,167 --> 00:38:15,585
ディエゴは言う

335
00:38:15,669 --> 00:38:19,589
3~4ヵ月 かかるだろう

336
00:38:21,091 --> 00:38:23,927
それから帰国しよう

337
00:38:39,860 --> 00:38:42,279
私は妊娠2ヵ月

338
00:38:44,031 --> 00:38:46,074
どうしたらいいだろう

339
00:38:53,540 --> 00:38:57,669
まずディエゴは
子供に興味がなさそう

340
00:38:59,087 --> 00:39:02,507
彼には絵を描くことがすべて

341
00:39:02,966 --> 00:39:06,803
他の何よりも
自分の絵が大好きだ

342
00:39:09,723 --> 00:39:12,225
それに私は体が弱い

343
00:39:14,144 --> 00:39:18,315
バスの衝突事故で
骨を砕かれた

344
00:39:20,400 --> 00:39:23,945
無事に産めるとは思えない

345
00:39:29,451 --> 00:39:31,828
今ならまだ間に合う

346
00:39:32,120 --> 00:39:34,706
自分の体のことを考えたい

347
00:39:36,124 --> 00:39:39,795
だから中絶したほうが
いいと思う

348
00:39:45,008 --> 00:39:48,887
でも医師は中絶するよりも―

349
00:39:48,970 --> 00:39:51,306
出産すべきだと言った

350
00:39:55,060 --> 00:39:59,606
そして私のような
ひどい体の状態でも―

351
00:40:00,273 --> 00:40:03,735
帝王切開で
産むことができると

352
00:40:07,823 --> 00:40:11,660
なぜ医師は出産を勧めたのか

353
00:40:15,038 --> 00:40:18,750
ここでは中絶は違法になる

354
00:40:20,001 --> 00:40:22,003
医師は怯おびえたのだ

355
00:40:36,017 --> 00:40:38,520
それから2ヵ月が経ち―

356
00:40:40,147 --> 00:40:44,484
私は妊娠を乗り切れると
確信していた

357
00:40:44,985 --> 00:40:47,988
出産を楽しみにしていた

358
00:40:52,742 --> 00:40:56,037
独立記念日の頃に会った時―

359
00:40:53,326 --> 00:40:57,998
友人
ルシエン・ブロッホ

360
00:40:56,246 --> 00:40:58,498
妊娠したと言っていた

361
00:40:58,582 --> 00:41:00,208
うれしそうだった

362
00:41:04,504 --> 00:41:06,339
午前3時ごろ

363
00:41:06,506 --> 00:41:10,260
ディエゴが寝起きのまま
やって来て

364
00:41:11,344 --> 00:41:14,973
“フリーダが
大出血してる”と

365
00:41:19,769 --> 00:41:23,106
フリーダが横たわるベッドは

366
00:41:23,773 --> 00:41:27,277
まるで血の海のようだった

367
00:41:29,070 --> 00:41:32,532
フリーダは
子供のように小さく見えた

368
00:41:32,782 --> 00:41:37,245
血の海の中で
服は涙で びしょぬれ

369
00:41:37,537 --> 00:41:40,207
絶望の悲鳴を上げていた

370
00:41:42,626 --> 00:41:46,213
“1932年7月
フリーダ・カーロ”

371
00:41:46,296 --> 00:41:50,467
“デトロイト
ヘンリーフォード病院”

372
00:41:53,678 --> 00:41:56,514
あっけなく流産した

373
00:41:59,559 --> 00:42:04,564
胎児は体が形成されず
形になってなかった

374
00:42:06,983 --> 00:42:12,030
私の体の中で何が起きたのか
誰にも分からない

375
00:42:16,451 --> 00:42:20,830
小さなディエゴの誕生が
楽しみだったのに

376
00:42:22,082 --> 00:42:23,833
たくさん泣いた

377
00:42:27,796 --> 00:42:30,048
運ばれたフォード病院では―

378
00:42:31,341 --> 00:42:37,180
なぜ流産したのか
原因は告げられなかった

379
00:42:41,935 --> 00:42:44,729
彼女は胎児の姿を知りたくて―

380
00:42:42,269 --> 00:42:47,983
友人
ルシエン・ブロッホ

381
00:42:44,813 --> 00:42:47,983
医師に医学書をせがんだ

382
00:42:48,400 --> 00:42:53,488
実際の胎児も見たがったけど
それも断られて

383
00:42:53,905 --> 00:42:57,075
ディエゴが医師に交渉した

384
00:42:57,284 --> 00:43:00,745
妻は普通の患者ではない
ディエゴ・リベラ

385
00:43:01,413 --> 00:43:06,543
医学書を見ることにより
芸術を生み出すはずだ

386
00:43:51,421 --> 00:43:55,342
私がこだわるのは
見たとおりのものを―

387
00:43:57,093 --> 00:44:00,388
そのまま絵に描き表すこと

388
00:44:02,015 --> 00:44:04,351
この自分の目で―

389
00:44:06,311 --> 00:44:07,937
見たものだけを

390
00:44:12,692 --> 00:44:15,070
私の感情

391
00:44:15,612 --> 00:44:18,031
私の精神状態

392
00:44:18,365 --> 00:44:23,286
そして人生が私に及ぼす
深刻な副作用

393
00:44:55,026 --> 00:44:56,861
これだけは分かる

394
00:44:58,655 --> 00:45:01,491
必要だから絵を描く

395
00:45:09,791 --> 00:45:11,793
ここを去りたい

396
00:45:12,877 --> 00:45:17,632
走り続けて
メキシコまで帰りたい

397
00:45:19,926 --> 00:45:25,098
フリーダと違って
私はアメリカのほうが好きだ

398
00:45:20,343 --> 00:45:25,098
ディエゴ・リベラ

399
00:45:26,307 --> 00:45:28,268
刺激がある

400
00:45:34,399 --> 00:45:37,444
都市の中の都市
ロックフェラーセンター

401
00:45:37,527 --> 00:45:41,156
空にも届く超高層ビル群です

402
00:45:42,782 --> 00:45:46,077
ロックフェラーは
ビルの装飾のために―
ディエゴ・リベラ

403
00:45:46,202 --> 00:45:49,164
最高の芸術家たちを雇った

404
00:45:49,706 --> 00:45:53,793
“ロックフェラーの壁画を
リベラが制作”

405
00:45:58,756 --> 00:46:04,012
噂うわさに聞いていたアメリカに
心の底から失望した

406
00:46:01,593 --> 00:46:04,012
“フォード”

407
00:46:06,639 --> 00:46:12,520
見た目は立派だけど
中身は本当にひどい

408
00:46:15,482 --> 00:46:19,861
悲惨な暮らしの人々を
たくさん見た

409
00:46:20,653 --> 00:46:23,156
彼らは食べ物も家もない

410
00:46:25,533 --> 00:46:27,118
“失業”

411
00:46:27,285 --> 00:46:29,162
“不景気”

412
00:46:30,955 --> 00:46:35,418
私が共産主義なのを
ロックフェラーは知っていた

413
00:46:31,789 --> 00:46:35,418
ディエゴ・リベラ

414
00:46:38,087 --> 00:46:41,925
“ディエゴ・リベラと
妻と助手たち”

415
00:46:43,259 --> 00:46:46,387
私は革命の壁画を描いた

416
00:46:46,471 --> 00:46:49,307
歌いながら行進する労働者

417
00:46:51,100 --> 00:46:53,061
そしてレーニンの肖像

418
00:46:55,188 --> 00:46:58,525
反感を買うことは承知の上だ

419
00:47:04,739 --> 00:47:10,495
ラジオシティーの私設警察に
制作を中止させられ―

420
00:47:10,662 --> 00:47:13,581
壁画は粉々に壊された

421
00:47:18,294 --> 00:47:20,046
アメリカ人どもめ

422
00:47:20,171 --> 00:47:23,967
鼻持ちならない
クソったれどもめ

423
00:47:26,052 --> 00:47:28,513
ロックフェラー騒動の結果―

424
00:47:28,680 --> 00:47:33,017
アメリカでの仕事は
キャンセルになった

425
00:47:33,851 --> 00:47:37,021
1933年 メキシコ市

426
00:47:52,579 --> 00:47:56,583
ディエゴは帰国を
私のせいにする

427
00:47:58,876 --> 00:48:02,922
でも帰国したのは
私だけのせいじゃない

428
00:48:07,385 --> 00:48:12,390
ディエゴは仕事の意欲を失い
怒りっぽくなった

429
00:48:15,476 --> 00:48:20,690
それを私のせいだと
思われるのは つらい

430
00:48:23,901 --> 00:48:29,490
トロツキーが夫人とともに
受け入れ先のメキシコに到着

431
00:48:29,782 --> 00:48:33,786
故レーニンの同志が
亡命を達成

432
00:48:35,705 --> 00:48:37,373
“オスロ ルース号”

433
00:48:37,498 --> 00:48:42,045
トロツキーのメキシコ入国に
私は尽力した

434
00:48:37,749 --> 00:48:42,045
ディエゴ・リベラ

435
00:48:42,045 --> 00:48:42,503
トロツキーのメキシコ入国に
私は尽力した

436
00:48:43,046 --> 00:48:47,216
世界中の国から
受け入れを拒否されたのだ

437
00:48:48,801 --> 00:48:52,013
到着した日
私は体調が悪く―

438
00:48:52,764 --> 00:48:56,601
波止場での出迎えを
フリーダに頼んだ

439
00:49:17,413 --> 00:49:18,998
フリーダはトロツキーに
自由な態度で接し―

440
00:49:17,455 --> 00:49:18,998
トロツキーの秘書

441
00:49:18,998 --> 00:49:22,877
フリーダはトロツキーに
自由な態度で接し―

442
00:49:19,082 --> 00:49:22,877
ジャン・ヴァン・
エジュノール

443
00:49:24,295 --> 00:49:26,172
思いやりがあった

444
00:49:28,383 --> 00:49:33,846
心を奪われたトロツキーは
彼女に手紙を書き始めた

445
00:49:37,517 --> 00:49:39,602
手紙は本に挟んで―

446
00:49:39,769 --> 00:49:43,606
人が見ている前でも
彼女に渡した

447
00:49:44,857 --> 00:49:48,277
ディエゴは
まったく気づかなかった

448
00:49:52,407 --> 00:49:55,326
レオン・トロツキーへ

449
00:49:55,785 --> 00:50:00,748
愛を込めて
あなたにこの絵を捧げます

450
00:50:07,880 --> 00:50:11,092
半年後 彼女は
トロツキーに飽きた

451
00:50:08,131 --> 00:50:11,092
友人 エラ・ウルフ

452
00:50:12,218 --> 00:50:14,887
老人の相手はウンザリ

453
00:50:16,681 --> 00:50:19,934
トロツキーは
9枚に及ぶ手紙を書き―

454
00:50:20,101 --> 00:50:22,562
別れないでくれと懇願

455
00:50:23,396 --> 00:50:27,900
彼女のいない人生は
悲しく空しいと訴えた

456
00:50:29,527 --> 00:50:35,742
まるで17歳の恋する若者が
愛する人に乞う嘆願だった

457
00:50:45,585 --> 00:50:48,755
フリーダの愛人だった
トロツキーの秘書

458
00:50:46,753 --> 00:50:51,591
フリーダは僕の人生で
忘れられない女性だ

459
00:50:48,838 --> 00:50:51,591
ジャン・ヴァン・
エジュノール

460
00:50:53,384 --> 00:50:58,014
彼女は性に対して
強い欲求を持っていた

461
00:50:59,599 --> 00:51:03,019
人生とは何かをこう語った

462
00:51:03,269 --> 00:51:06,314
愛を交わして
お風呂に入って

463
00:51:07,732 --> 00:51:09,776
また愛を交わす

464
00:51:17,909 --> 00:51:21,204
私が愛する相手は―

465
00:51:21,662 --> 00:51:25,082
いつも決まって
感受性の強い人

466
00:51:25,208 --> 00:51:29,378
そして何より
性的に惹かれる人

467
00:51:36,385 --> 00:51:40,389
喜びを得られる限り
情事は続く

468
00:51:41,974 --> 00:51:47,438
愛していない相手とでも
セックスはすばらしい

469
00:51:53,194 --> 00:51:57,740
セックスの間
私の乳房は役に立つ

470
00:51:58,616 --> 00:52:01,327
触れられると興奮する

471
00:52:06,874 --> 00:52:08,376
ナチート

472
00:52:07,208 --> 00:52:12,547
画家
イグナシオ・アギーレ

473
00:52:08,459 --> 00:52:13,464
2人だけの時間を
もっと過ごしたい

474
00:52:14,507 --> 00:52:17,927
ジョージア あなたが大好き
画家
ジョージア・オキーフ

475
00:52:18,803 --> 00:52:21,806
ジャクリーヌ
あなたを忘れられず―

476
00:52:19,303 --> 00:52:23,307
画家
ジャクリーヌ・ランバ

477
00:52:21,931 --> 00:52:26,269
夜はとても長く耐えがたい

478
00:52:27,436 --> 00:52:28,896
バルトリ

479
00:52:28,062 --> 00:52:32,942
画家
ジュゼップ・バルトリ

480
00:52:29,021 --> 00:52:32,942
昨日の夜は
まるでいくつもの翼に―

481
00:52:32,942 --> 00:52:33,067
画家
ジュゼップ・バルトリ

482
00:52:33,150 --> 00:52:36,153
体中をなでられるようだった

483
00:52:36,237 --> 00:52:40,908
あなたの指先は
私の肌にキスするようだった

484
00:52:42,034 --> 00:52:46,122
私の愛しいニック
あなたが大好き

485
00:52:42,660 --> 00:52:46,372
写真家 ニコラス・ムライ

486
00:52:46,372 --> 00:52:50,376
あなたほど
深く愛した人はいない

487
00:53:03,723 --> 00:53:07,268
あなたのために
この絵を描いた

488
00:53:08,436 --> 00:53:12,106
この星には私がいることを
忘れないで

489
00:53:14,942 --> 00:53:19,280
愛はすべての命の礎いしずえ

490
00:53:22,700 --> 00:53:27,038
“あなたが大好き
フリーダ”

491
00:53:36,505 --> 00:53:40,635
フリーダの女性関係を
ディエゴは認めていた
友人 ルシエン・ブロッホ

492
00:53:42,178 --> 00:53:45,473
ある日 笑いながら言った

493
00:53:45,848 --> 00:53:49,018
フリーダは同性愛者だ

494
00:53:50,186 --> 00:53:52,313
女は感受性が強い

495
00:53:52,855 --> 00:53:55,483
だから女同士で
愛し合えば―

496
00:53:55,566 --> 00:53:59,362
最高の性的体験を
味わえるだろう

497
00:54:02,573 --> 00:54:08,037
フリーダの愛人
イサム・ノグチ
女たらしのディエゴに
妻の浮気を責める権利はない

498
00:54:08,037 --> 00:54:08,371
女たらしのディエゴに
妻の浮気を責める権利はない

499
00:54:08,788 --> 00:54:11,916
だが彼はそれを許せなかった

500
00:54:14,627 --> 00:54:18,839
その日も私と彼女は
情事を楽しんでいた

501
00:54:20,841 --> 00:54:24,845
するとディエゴが
銃を持ってやって来て

502
00:54:26,305 --> 00:54:28,557
私に銃を見せて言った

503
00:54:28,641 --> 00:54:31,560
“また見かけたら撃ってやる”

504
00:54:34,897 --> 00:54:37,149
ひどく嫉妬深かった

505
00:54:47,702 --> 00:54:49,870
女を好きになると―
ディエゴ・リベラ

506
00:54:49,870 --> 00:54:53,165
ディエゴ・リベラ

507
00:54:49,954 --> 00:54:53,165
深く愛するほど
傷つけたくなる

508
00:54:54,041 --> 00:54:59,338
私の悪い性癖の
明らかな犠牲者がフリーダだ

509
00:55:01,048 --> 00:55:03,759
彼女の大切な人にも
手を出した

510
00:55:05,302 --> 00:55:08,305
フリーダの妹
クリスティーナだ

511
00:55:18,399 --> 00:55:20,317
4人姉妹だったけれど―

512
00:55:20,401 --> 00:55:24,655
クリスティーナとは
一番 仲がよかった

513
00:55:25,072 --> 00:55:28,451
何かと世話を焼き
可愛がってた

514
00:55:31,495 --> 00:55:34,999
クリスティーナは美しかった

515
00:55:35,583 --> 00:55:40,504
子供の頃は嫉妬して
大ゲンカもしたけれど

516
00:55:42,048 --> 00:55:44,925
誰よりも大切な存在だった

517
00:55:52,308 --> 00:55:57,104
近頃 私より妹に
惹かれているのは分かってる

518
00:56:01,108 --> 00:56:02,943
ひどすぎる

519
00:56:03,569 --> 00:56:05,571
許せない

520
00:56:06,947 --> 00:56:08,407
もう こりごり

521
00:56:13,204 --> 00:56:14,622
愛

522
00:56:15,664 --> 00:56:17,083
憎しみ

523
00:56:18,292 --> 00:56:19,919
狂気

524
00:56:33,974 --> 00:56:37,603
怒りに叫びながら
日々を過ごした

525
00:56:38,729 --> 00:56:44,026
私は男に捨てられ
打ちひしがれる ただの小娘

526
00:56:45,444 --> 00:56:47,279
私には価値がない

527
00:56:48,823 --> 00:56:51,951
私には何もできない

528
00:56:53,369 --> 00:56:56,372
なんてバカげた状況なの?

529
00:56:57,957 --> 00:57:01,168
自分を大嫌いになるなんて

530
00:57:17,351 --> 00:57:21,188
事実を知ると
フリーダは出て行った
ディエゴ・リベラ

531
00:57:22,815 --> 00:57:26,735
もう手遅れだ
しかし正直なところ―

532
00:57:27,153 --> 00:57:32,992
やり直せたとしても
私は同じ行動を取るだろう

533
00:57:35,619 --> 00:57:39,206
男は育った環境によって
作られる

534
00:57:39,290 --> 00:57:41,834
自分を変えることはない

535
00:57:44,086 --> 00:57:47,256
ニューヨークへ
行こうと思ったけど―

536
00:57:47,339 --> 00:57:52,094
お金がなくて
同じ町の別の場所に住んでる

537
00:57:53,262 --> 00:57:58,809
突然 ディエゴが来たけど
話すことは何もないし

538
00:57:59,351 --> 00:58:03,272
お互いに関わることは
何もない

539
00:58:04,732 --> 00:58:06,942
彼は近況も話さないし―

540
00:58:07,026 --> 00:58:12,239
私が何をして何を考えてるか
興味も示さない

541
00:58:14,366 --> 00:58:18,329
愛するあまり
傷つけてしまった

542
00:58:18,454 --> 00:58:21,290
この先の苦痛を避けるために―

543
00:58:21,540 --> 00:58:24,835
離婚してくれと頼んだ

544
00:58:33,385 --> 00:58:36,430
今日 最後の書類に
サインした

545
00:58:37,848 --> 00:58:42,061
心から愛してるから
とてもつらい

546
00:58:46,023 --> 00:58:50,653
でも結局はこれが
彼のためになると思う

547
00:58:51,946 --> 00:58:53,864
重荷になったり―

548
00:58:53,989 --> 00:58:59,161
彼の求める完全な自由を
妨げたくない

549
00:59:19,390 --> 00:59:22,977
数ヵ月経って
私は妹を許した

550
00:59:23,435 --> 00:59:28,899
過ぎたことは忘れて
生きるために努力した

551
00:59:42,329 --> 00:59:44,832
孤独を学んでいる

552
00:59:45,958 --> 00:59:50,337
それはすでに強みであり
小さな勝利だ

553
00:59:53,632 --> 00:59:56,010
人生の一番いい時期を―

554
00:59:56,176 --> 01:00:01,056
何もしてくれない男のために
棒に振ってしまった

555
01:00:06,937 --> 01:00:10,566
絵を描いて売らなければ

556
01:00:11,734 --> 01:00:13,610
自由になるために

557
01:00:15,696 --> 01:00:18,866
ディエゴのお金は
受け取らない

558
01:00:19,616 --> 01:00:24,413
男からのお金は
死ぬまで受け取らない

559
01:00:30,711 --> 01:00:32,713
私は自分を描く

560
01:00:33,213 --> 01:00:36,175
一番 知っているものだから

561
01:00:42,014 --> 01:00:43,891
私の自画像は―

562
01:00:43,974 --> 01:00:48,437
私の感情を
ありのままに表現する

563
01:00:53,108 --> 01:00:58,447
悲しい絵ばかり
描くべきじゃないと言われる

564
01:00:59,406 --> 01:01:02,743
でも私は描きたいものを描く

565
01:01:02,868 --> 01:01:05,079
たとえ売れなくても

566
01:01:21,011 --> 01:01:22,596
ようやく―

567
01:01:22,679 --> 01:01:27,851
生まれて初めて
自分の作品が1つ売れた

568
01:01:31,271 --> 01:01:36,068
次は猿と一緒の自画像の
依頼を受けた

569
01:01:37,236 --> 01:01:42,408
理由は分からないけれど
みんな猿が好きみたい

570
01:01:59,091 --> 01:02:03,887
詩人アンドレ・ブルトンが
メキシコにやって来た

571
01:02:07,266 --> 01:02:09,560
到着した時は まだ―
超現実主義シュールレアリスムの提唱者
アンドレ・ブルトン

572
01:02:09,560 --> 01:02:12,938
超現実主義シュールレアリスムの提唱者
アンドレ・ブルトン

573
01:02:10,102 --> 01:02:13,313
私の目は閉ざされていた

574
01:02:13,605 --> 01:02:19,445
陽光あふれる市場の先住民の
気高さと貧困というカオスに

575
01:02:26,827 --> 01:02:29,788
フリーダにも
注目していなかった

576
01:02:29,955 --> 01:02:35,294
指先で魔法を操るおとぎ話の
姫のような彼女にも

577
01:02:40,632 --> 01:02:43,969
驚いたことに
彼女の作品は―

578
01:02:44,178 --> 01:02:48,640
純粋な超現実シュールレアリティーとして
開花していた

579
01:02:48,932 --> 01:02:53,937
我々の活動の動機となった
アイデアについて―

580
01:02:54,104 --> 01:02:59,359
何の予備知識もなく
生み出されたにもかかわらず

581
01:03:04,323 --> 01:03:06,950
ブルトンに言われるまで―

582
01:03:07,034 --> 01:03:11,580
私が超現実主義者シュールレアリストだとは
知らなかった

583
01:03:13,874 --> 01:03:16,585
正直に言うと絵画の世界に―

584
01:03:16,710 --> 01:03:20,547
そんな運動があることも
知らなかった

585
01:03:20,839 --> 01:03:23,383
ルネ・マグリット

586
01:03:23,550 --> 01:03:27,262
サルバドール・ダリ

587
01:03:24,927 --> 01:03:30,349
シュールレアリスムとは
夢の全能性である

588
01:03:27,429 --> 01:03:31,558
ルネ・マグリット

589
01:03:32,851 --> 01:03:35,395
誘惑の才能を与えられ―

590
01:03:35,729 --> 01:03:40,651
才能ある男たちの社会に
順応した―

591
01:03:41,151 --> 01:03:45,113
若い女性の登場に
立ち会えて光栄に思う

592
01:03:46,490 --> 01:03:51,370
フリーダ・カーロの芸術は
爆弾に巻かれたリボンである

593
01:04:04,341 --> 01:04:07,761
驚きと予想外のことは
大好きだ

594
01:04:09,179 --> 01:04:11,890
でも夢を描いたことはない

595
01:04:12,182 --> 01:04:15,227
自分の現実を描いてきた

596
01:04:30,409 --> 01:04:33,996
ブルトンは
私の作品を気に入り―

597
01:04:34,204 --> 01:04:38,709
パリとニューヨークで
展示することを勧めた

598
01:04:39,710 --> 01:04:42,629
1938年 ニューヨーク市

599
01:04:53,473 --> 01:04:58,604
シュールレアリスト専門の
ニューヨークの画廊が―

600
01:04:58,729 --> 01:05:02,441
個展を開きたいと
招いてくれた

601
01:05:03,900 --> 01:05:06,945
作品展を開くのは初めてだ

602
01:05:07,154 --> 01:05:10,657
“フリーダ・カーロ展
ジュリアン・レヴィ画廊”

603
01:05:10,824 --> 01:05:16,705
“リボンを巻いた爆弾”

604
01:05:11,325 --> 01:05:16,705
今週 話題のニュースは
フリーダ・カーロの初個展

605
01:05:17,289 --> 01:05:22,294
冷徹な子供の遊び心と
血まみれの空想を描きます

606
01:05:23,754 --> 01:05:26,423
何もかも準備されていて―

607
01:05:27,174 --> 01:05:31,428
展示した25作品のうち
12点が売れた

608
01:05:35,891 --> 01:05:40,604
次はパリへ向かい
ブルトンが企画する展覧会へ

609
01:05:55,535 --> 01:06:00,374
着いた瞬間から
メチャクチャだった

610
01:06:01,333 --> 01:06:04,169
展覧会は準備されておらず

611
01:06:04,586 --> 01:06:09,132
私の絵は税関で
引き取りを待っていた

612
01:06:09,466 --> 01:06:14,388
ブルトンが面倒がって
放っておいたから

613
01:06:16,723 --> 01:06:20,477
さらにブルトンは
私の絵と一緒に―

614
01:06:20,686 --> 01:06:24,439
メキシコの市場の雑貨を
飾ろうとしていた

615
01:06:27,693 --> 01:06:31,446
何の変哲もない
ただのガラクタを

616
01:06:37,035 --> 01:06:41,164
やっと決まった会場は
ピエール・コル画廊

617
01:06:41,289 --> 01:06:44,584
この辺りで最高の画廊らしい

618
01:06:48,588 --> 01:06:52,926
初日には大勢の人が集まった

619
01:06:54,010 --> 01:06:56,680
ジョアン・ミロから
祝賀を受け

620
01:06:57,347 --> 01:07:00,726
カンディンスキーから
称賛された

621
01:07:01,393 --> 01:07:05,021
ピカソや
他のシュールレアリスムの

622
01:07:05,230 --> 01:07:06,732
クソ大物たちからも

623
01:07:08,692 --> 01:07:14,364
でもここの金持ちどもは
1枚も絵を買おうとしない

624
01:07:16,783 --> 01:07:22,205
著名人の仲間入りをしても
私は名誉を感じない

625
01:07:23,373 --> 01:07:28,044
男たちは王様
彼らが世界を支配してる

626
01:07:32,007 --> 01:07:34,885
“カフェ・ド・マドリード”

627
01:07:37,053 --> 01:07:40,891
ここの連中には吐き気がする

628
01:07:42,267 --> 01:07:48,231
ご立派なお尻を暖めながら
カフェに何時間も座り込み

629
01:07:48,648 --> 01:07:53,528
文化や芸術や革命について
延々としゃべり続け

630
01:07:54,321 --> 01:07:59,785
実現しない空論ばかり語って
空気を汚し続ける

631
01:08:03,663 --> 01:08:06,041
シュールレアリスムは大嫌い

632
01:08:07,000 --> 01:08:10,754
退廃した
ブルジョア芸術でしかない

633
01:08:18,762 --> 01:08:24,768
何もかも嫌気が差すから
地獄へ送ってやることにした

634
01:08:25,602 --> 01:08:30,816
ブルトンたちにも
不愉快なこの街にもウンザリ

635
01:08:31,900 --> 01:08:33,902
ヤツらにクソを食らわせ―

636
01:08:34,402 --> 01:08:37,239
私は家に帰ろうと思う

637
01:08:51,711 --> 01:08:53,797
最悪の気分

638
01:08:55,465 --> 01:09:00,011
いつも背骨の具合が悪く
どんどんひどくなる

639
01:09:11,356 --> 01:09:15,527
あの事故のせいで
私は壊れてしまった

640
01:09:19,865 --> 01:09:22,284
足も痛み続ける

641
01:09:23,952 --> 01:09:26,621
指先が麻痺まひしている

642
01:09:27,622 --> 01:09:30,792
だからいつも調子が悪い

643
01:09:32,711 --> 01:09:34,546
治療法はない

644
01:09:42,220 --> 01:09:45,724
医師や整形外科医は
口をそろえて―

645
01:09:45,849 --> 01:09:48,560
手術するべきだと言う

646
01:09:50,562 --> 01:09:52,397
すごく怖い

647
01:10:02,365 --> 01:10:06,411
結局 医師は
骨を切り刻んで手術した

648
01:10:07,537 --> 01:10:11,041
骨盤の一部を切り取り―

649
01:10:11,333 --> 01:10:13,335
脊椎せきついに移植した

650
01:10:13,501 --> 01:10:15,921
“希望の木よ 強く立て”

651
01:10:25,096 --> 01:10:29,935
骨が再生して順応するまで
長い時間がかかる

652
01:10:31,227 --> 01:10:34,689
長く入院することになる

653
01:10:38,318 --> 01:10:41,655
未来を想像することは難しい

654
01:10:42,697 --> 01:10:46,326
回復するまでは考えられない

655
01:10:49,496 --> 01:10:51,915
希望の木よ

656
01:10:52,290 --> 01:10:54,334
強く立て

657
01:11:16,481 --> 01:11:20,193
ディエゴ・リベラ
フリーダ
何を書けばよいやら...

658
01:11:20,193 --> 01:11:20,485
フリーダ
何を書けばよいやら...

659
01:11:20,694 --> 01:11:22,195
とにかく今まで―

660
01:11:22,278 --> 01:11:26,241
どれほど君を愛してるか
分かってなかった

661
01:11:27,075 --> 01:11:28,868
だが今は分かる

662
01:11:31,663 --> 01:11:35,834
愛する人よ
君の病気がとても心配だ

663
01:11:44,050 --> 01:11:45,760
彼は言った

664
01:11:45,844 --> 01:11:50,098
他のどんな女よりも
私を愛してると

665
01:11:50,724 --> 01:11:54,144
もう一度 結婚しようと

666
01:11:58,189 --> 01:12:00,191
愛していたから―

667
01:12:00,316 --> 01:12:03,778
再婚してくれと
何度も頼んだが

668
01:12:04,029 --> 01:12:05,739
断られていた

669
01:12:06,865 --> 01:12:11,703
でも条件付きで
ようやく同意してくれた

670
01:12:13,621 --> 01:12:18,668
彼女自身の絵の収入で
自立して生活すること

671
01:12:19,711 --> 01:12:24,257
私は家計の
きっちり半分だけ払うこと

672
01:12:25,050 --> 01:12:27,844
2人で性的関係は持たない

673
01:12:29,262 --> 01:12:33,558
最後の条件の理由は
フリーダによると...

674
01:12:34,434 --> 01:12:37,812
あなたの女たちを
想像すると―

675
01:12:38,188 --> 01:12:42,067
あなたと愛を交わすことは
できない

676
01:12:42,358 --> 01:12:45,153
あなたが私を誘い始めると

677
01:12:45,487 --> 01:12:48,490
心にバリアができるから

678
01:12:52,619 --> 01:12:57,373
フリーダを取り戻したくて
条件を受け入れた

679
01:12:58,208 --> 01:13:01,377
フリーダと私は再婚した

680
01:13:28,279 --> 01:13:30,365
結婚生活はうまくいってる

681
01:13:32,242 --> 01:13:38,248
嫉妬や激しい口論がなくなり
相手への理解が深まった

682
01:13:41,793 --> 01:13:46,381
屋敷の維持に
お互いに協力する

683
01:13:49,425 --> 01:13:52,762
いつまでも一緒にいる

684
01:13:54,180 --> 01:13:56,850
ただ愛し合うために

685
01:14:12,407 --> 01:14:16,244
私の坊や
あなたに家をあげましょう

686
01:14:16,536 --> 01:14:20,415
私が作った素敵なものが
詰まった家を

687
01:14:31,593 --> 01:14:34,596
今は絵を教えている

688
01:14:42,478 --> 01:14:46,232
午後は絵を描くことに
没頭できる

689
01:14:48,651 --> 01:14:51,404
描き上げると それを売る

690
01:14:51,571 --> 01:14:55,366
月々の支出を賄えるように

691
01:14:58,328 --> 01:15:00,580
これで私が健康なら―

692
01:15:01,789 --> 01:15:04,167
幸せだと言えるはず

693
01:15:10,632 --> 01:15:13,259
1952年

694
01:15:23,478 --> 01:15:28,608
1950年までは
それなりに元気だった

695
01:15:30,401 --> 01:15:33,112
でも今は最悪の状態

696
01:15:38,534 --> 01:15:42,372
フリーダは患者として
多くの経験をした
友人 アレハンドロ・
ゴメス・アリアス

697
01:15:43,414 --> 01:15:46,376
何度も外科手術を受け―

698
01:15:47,085 --> 01:15:50,546
いくつもの医療器具を使い―

699
01:15:51,506 --> 01:15:54,842
背骨を伸ばすために
つるされた

700
01:16:02,016 --> 01:16:03,977
これが私の現実

701
01:16:04,519 --> 01:16:06,312
私に平穏はない

702
01:16:07,480 --> 01:16:11,401
それでも
笑いほど価値あるものはない

703
01:16:11,901 --> 01:16:16,072
笑って自分を解放すると
力が みなぎる

704
01:16:18,157 --> 01:16:22,412
いつも病院では
痛みをジョークにして
医師 ギレルモ・
ベラスコ・イ・ポロ

705
01:16:23,204 --> 01:16:25,915
乱暴な言葉で訴えた

706
01:16:27,250 --> 01:16:30,211
クソみたいにつらい

707
01:16:33,172 --> 01:16:36,926
私が美人と一緒にいると
こう言った

708
01:16:37,302 --> 01:16:40,930
彼女を貸して 一服したい

709
01:16:46,602 --> 01:16:51,316
コルセットをつけていても
落胆はしていない

710
01:16:53,568 --> 01:16:56,571
生きる意欲にあふれてる

711
01:16:56,738 --> 01:17:00,742
“人生万歳
フリーダ・カーロ”

712
01:17:01,617 --> 01:17:03,828
人生万々歳!

713
01:17:28,644 --> 01:17:32,315
私の右足を切断するつもりだ

714
01:17:34,192 --> 01:17:39,197
詳しくは知らないけれど
医師たちの意見は深刻だ

715
01:17:59,675 --> 01:18:01,302
私は体が不自由

716
01:18:04,472 --> 01:18:06,432
今は毎日を―

717
01:18:07,183 --> 01:18:12,730
この忘れられた屋敷に
閉じこもって過ごしている

718
01:18:17,860 --> 01:18:19,487
黄色

719
01:18:21,155 --> 01:18:22,615
“病気”

720
01:18:23,199 --> 01:18:24,492
“恐怖”

721
01:18:26,160 --> 01:18:30,081
幽霊はみんな
この色の服を着ている

722
01:18:33,626 --> 01:18:34,794
赤

723
01:18:37,755 --> 01:18:39,132
“血”

724
01:18:46,472 --> 01:18:47,557
黒

725
01:18:51,227 --> 01:18:52,770
黒いものはない

726
01:18:55,273 --> 01:18:57,066
本当に何も

727
01:19:06,993 --> 01:19:08,536
死にたい

728
01:19:14,709 --> 01:19:18,588
フリーダの看護師
フディット・フェレート

729
01:19:15,001 --> 01:19:18,588
彼女が足を切断した後は―

730
01:19:18,588 --> 01:19:19,297
フリーダの看護師
フディット・フェレート

731
01:19:19,255 --> 01:19:20,965
静かになりました

732
01:19:22,675 --> 01:19:27,430
ディエゴも来ず
彼女は絵を描かなくなった

733
01:19:28,264 --> 01:19:31,058
医師は
“無理強いはするな”

734
01:19:31,142 --> 01:19:33,644
“生きる意欲を失ったのだ”と

735
01:19:37,607 --> 01:19:41,194
ある朝 彼女は真剣な目で
私に言いました

736
01:19:41,986 --> 01:19:43,821
絵を描こうと思う

737
01:19:45,406 --> 01:19:48,910
彼女を車イスに固定して
座らせました

738
01:20:02,548 --> 01:20:05,051
私は寡作だった

739
01:20:07,053 --> 01:20:11,057
栄光や野心は少しも望まず

740
01:20:13,351 --> 01:20:18,105
まず自分自身が楽しみ
それから絵で生計を立てる

741
01:20:20,441 --> 01:20:24,362
そういう信念を
持っていたから

742
01:20:27,698 --> 01:20:32,912
最悪の人生を補うものを
いくつも失った

743
01:20:34,497 --> 01:20:38,084
でも絵が
人生を満たしてくれた

744
01:21:05,486 --> 01:21:07,238
ディエゴに言ったわ
友人 ローラ・
アルバレス・ブラボ

745
01:21:07,238 --> 01:21:09,198
友人 ローラ・
アルバレス・ブラボ

746
01:21:07,321 --> 01:21:09,198
フリーダの展覧会を―

747
01:21:09,323 --> 01:21:13,077
メキシコで開かないのは
おかしいと

748
01:21:13,494 --> 01:21:17,331
私の画廊で開くことを
提案した

749
01:21:19,792 --> 01:21:25,590
“フリーダ・カーロ
絵画作品展”

750
01:21:34,056 --> 01:21:38,436
彼女は救急車で
ヒロインのように登場した
ディエゴ・リベラ

751
01:21:41,939 --> 01:21:44,066
ベッドの上のフリーダは―

752
01:21:45,568 --> 01:21:51,574
大勢の人に温かく迎えられ
とても満足そうだった

753
01:21:56,078 --> 01:21:58,664
彼女は何も言わなかった

754
01:22:00,541 --> 01:22:05,296
人生との別れを
悟っていたに違いない

755
01:22:10,176 --> 01:22:12,511
死ぬのは怖くない

756
01:22:14,305 --> 01:22:18,100
それでも苦い思いがある

757
01:22:18,643 --> 01:22:22,980
思う存分 好きなだけ
絵を描くには―

758
01:22:23,606 --> 01:22:27,318
何度生きても足りない

759
01:22:48,422 --> 01:22:50,299
喜びとは何か?

760
01:22:52,134 --> 01:22:54,679
発見を通して創造すること

761
01:23:05,314 --> 01:23:09,652
孤独な鹿は傷ついて
悲しそうに歩いた

762
01:23:11,195 --> 01:23:14,198
ぬくもりと家を見つけるまで

763
01:23:18,244 --> 01:23:23,124
鹿が力強く喜びに満ち
癒やされて戻る時―

764
01:23:24,083 --> 01:23:29,213
今 背負っている傷は
すべて消え去る

765
01:23:37,513 --> 01:23:40,141
大きな安らぎに感謝

766
01:23:41,809 --> 01:23:47,064
あの鹿のいる森では
空はすでに晴れ渡っている

767
01:24:03,330 --> 01:24:07,501
“死んだら私は世界一の
クソ大物になるでしょう”

768
01:24:07,585 --> 01:24:09,003
フリーダ・カーロ

769
01:24:09,170 --> 01:24:12,965
“フリーダ・カーロ展”

770
01:24:13,132 --> 01:24:15,384
“わが心のディエゴ”

771
01:27:11,018 --> 01:27:14,021
日本語字幕 草刈 かおり

