1
00:00:07,966 --> 00:00:11,344
<i>ディズニープラス提供</i>

2
00:00:12,929 --> 00:00:15,932
<i>スーパー･クラブ･プロダクション</i>

3
00:00:19,853 --> 00:00:22,814
<i>監督:デヴィッド･ゲルブ</i>

4
00:00:35,410 --> 00:00:37,287
元気だったか？

5
00:00:37,996 --> 00:00:41,082
気付けばお互い白髪頭だ

6
00:00:41,166 --> 00:00:42,167
痩せたね

7
00:00:42,292 --> 00:00:43,668
君は渋い

8
00:00:46,046 --> 00:00:48,798
味見は？ イケるよ

9
00:00:55,138 --> 00:00:56,765
経営者は厳しい

10
00:00:56,890 --> 00:01:02,479
生き残るのは楽じゃない
もっと変化しないとな

11
00:01:02,812 --> 00:01:04,814
時代の流れが違う

12
00:01:04,939 --> 00:01:06,024
速くなった

13
00:01:06,191 --> 00:01:08,276
今は猛スピードだ

14
00:01:09,819 --> 00:01:12,405
過去は語りたくない

15
00:01:13,323 --> 00:01:17,744
残りの人生について
つい考えてしまう

16
00:01:19,579 --> 00:01:23,083
この年齢になれば
落ち着くべきだ

17
00:01:23,917 --> 00:01:25,418
くつろげばいい

18
00:01:27,087 --> 00:01:29,089
でも実際は逆だよ

19
00:01:36,888 --> 00:01:41,309
駆け出しのころ
料理の師匠に言われた

20
00:01:41,726 --> 00:01:45,605
“お前はきっと
チャンスに恵まれる”

21
00:01:46,564 --> 00:01:51,402
“だがチャンスは
やってくる電車と同じ”

22
00:01:52,487 --> 00:01:55,156
“思い切って飛び乗れ”

23
00:01:55,573 --> 00:01:59,911
“運が良ければ
望む場所へ行ける”

24
00:02:00,453 --> 00:02:03,748
その言葉を糧に生きてきた

25
00:02:05,458 --> 00:02:11,506
<i>ゲストは一流店を経営する
世界屈指のシェフ</i>

26
00:02:11,673 --> 00:02:15,009
<i>ウルフギャング･パック</i>

27
00:02:19,639 --> 00:02:23,101
彼は最初の
セレブシェフよ

28
00:02:21,057 --> 00:02:23,143
<i>ナンシー･シルバートン
ペストリーシェフ</i>

29
00:02:23,393 --> 00:02:25,270
<i>やあ みなさん</i>

30
00:02:26,521 --> 00:02:27,814
<i>調子は？</i>

31
00:02:29,983 --> 00:02:31,276
<i>完璧だ</i>

32
00:02:32,694 --> 00:02:36,739
様々なジャンルの
店を手がけてる

33
00:02:37,574 --> 00:02:41,828
商品は多すぎて
ついて行けないくらい

34
00:02:56,050 --> 00:02:57,677
さて 準備はいいか

35
00:02:57,760 --> 00:02:58,928
はい

36
00:02:59,012 --> 00:03:00,763
それは何かな

37
00:03:01,139 --> 00:03:07,937
単なる有名シェフというのは
彼に対する大きな誤解だ

38
00:03:05,059 --> 00:03:07,937
<i>エヴァン･フンケ
コック</i>

39
00:03:08,104 --> 00:03:10,273
アニョロッティは？

40
00:03:10,398 --> 00:03:12,901
見当違いも甚だしい

41
00:03:13,610 --> 00:03:14,569
いいね

42
00:03:17,572 --> 00:03:22,035
カリフォルニア料理界を
代表する存在だ

43
00:03:23,411 --> 00:03:27,123
アメリカの食文化は
彼が作ったんだ

44
00:03:27,874 --> 00:03:33,087
<i>誰もが知ってる最高の店
それがスパーゴ</i>

45
00:03:33,338 --> 00:03:34,172
“<i>スパーゴ</i>”

46
00:03:34,088 --> 00:03:38,635
彼の作った店が
アメリカ人の食生活を変えた

47
00:03:36,549 --> 00:03:38,676
<i>ルース･ライシェル
フードライター</i>

48
00:03:40,678 --> 00:03:45,308
高級レストランで
ピザを提供するなんて―
高級レストランで
ピザを提供するなんて―

49
00:03:46,226 --> 00:03:47,560
まさに革命よ

50
00:03:47,810 --> 00:03:50,146
ピザを20人分焼こう

51
00:03:51,105 --> 00:03:56,402
彼の革命から生まれたのが
オープンキッチン

52
00:03:54,192 --> 00:03:56,444
<i>ローリー･オチョア
エディター</i>

53
00:03:57,278 --> 00:04:03,952
キッチンと客席を同等に扱い
シェフの地位を高めたの

54
00:04:04,244 --> 00:04:05,870
客席を見てくる

55
00:04:07,288 --> 00:04:08,748
すぐ戻るよ

56
00:04:12,502 --> 00:04:13,878
いらっしゃい

57
00:04:14,379 --> 00:04:15,255
どうも

58
00:04:16,005 --> 00:04:21,719
話題になる存在として
彼はシェフに光を当てた

59
00:04:22,971 --> 00:04:27,600
シェフに対する
世間の認識を変えたんだ

60
00:04:28,101 --> 00:04:31,938
アニョロッティの
トリュフ乗せをどうぞ

61
00:04:32,146 --> 00:04:35,441
どんな可能性も
彼は受け入れ―

62
00:04:35,900 --> 00:04:40,029
チャンスをつかみ
流れに乗っていく

63
00:04:42,365 --> 00:04:46,703
人生のピークはまだ先
だから現役なのかも

64
00:04:47,745 --> 00:04:50,248
クライマックスはこれからよ

65
00:05:02,635 --> 00:05:06,389
<i>オーストリア</i>

66
00:05:11,811 --> 00:05:14,063
〈はい　どなた？〉

67
00:05:14,480 --> 00:05:17,900
〈僕だよ
覚えてるかな〉

68
00:05:18,026 --> 00:05:19,861
〈いらっしゃい〉

69
00:05:21,112 --> 00:05:22,613
<i>クリスティーナ･パック
ウルフギャングの妹</i>

70
00:05:22,697 --> 00:05:23,698
来たわね

71
00:05:23,781 --> 00:05:24,907
〈痩せたな〉

72
00:05:25,074 --> 00:05:29,620
〈細くなってる
食べ物を持ってきた〉

73
00:05:30,121 --> 00:05:31,456
〈デザートだ〉

74
00:05:33,374 --> 00:05:34,584
〈ありがとう〉

75
00:05:35,251 --> 00:05:36,502
〈作らずに済む〉

76
00:05:36,669 --> 00:05:39,005
〈他のメニューにして〉

77
00:05:39,088 --> 00:05:41,799
〈私からも
見せたいモノがあるの〉

78
00:05:42,633 --> 00:05:43,468
〈来て〉

79
00:05:43,634 --> 00:05:45,636
〈チーズ団子を
用意した〉

80
00:05:45,720 --> 00:05:49,015
〈母さんが作ってたね〉

81
00:05:49,307 --> 00:05:50,767
〈そのとおりよ〉

82
00:05:51,642 --> 00:05:52,935
〈こね台を見て〉

83
00:05:54,520 --> 00:05:57,357
〈母さんが
使ってたのと同じ〉

84
00:05:57,440 --> 00:05:58,816
〈なら おいしい〉

85
00:05:58,900 --> 00:06:00,068
〈ええ きっと〉

86
00:06:00,151 --> 00:06:02,362
〈すっかり腹ペコだ〉

87
00:06:02,445 --> 00:06:04,322
〈すぐ用意する〉

88
00:06:04,655 --> 00:06:05,865
〈沸騰してない〉

89
00:06:05,948 --> 00:06:06,908
〈いいの〉

90
00:06:07,367 --> 00:06:08,993
〈コトコト煮る〉

91
00:06:09,077 --> 00:06:10,370
〈なるほど〉

92
00:06:14,332 --> 00:06:16,042
僕の料理本だ

93
00:06:16,667 --> 00:06:19,337
ほとんど… いや全部ある

94
00:06:19,462 --> 00:06:21,130
そろってるわよ

95
00:06:24,550 --> 00:06:25,551
子供時代―

96
00:06:26,260 --> 00:06:28,888
キッチンは逃げ場だった

97
00:06:29,722 --> 00:06:32,141
唯一ホッとできたよ

98
00:06:38,815 --> 00:06:40,650
家は貧しくてね

99
00:06:43,111 --> 00:06:46,781
水道はなく
トイレもなかった

100
00:06:48,199 --> 00:06:50,451
でも日曜だけは特別

101
00:06:50,993 --> 00:06:53,996
母のカツレツ作りを手伝った

102
00:06:55,540 --> 00:06:57,083
マッシュポテトも

103
00:06:58,334 --> 00:07:01,212
何よりの楽しみだったよ

104
00:07:05,508 --> 00:07:06,717
〈幼いころ―〉

105
00:07:07,427 --> 00:07:11,931
〈兄はいつもキッチンで
祖母や母と過ごした〉

106
00:07:12,056 --> 00:07:15,309
〈料理を手伝ってたの〉

107
00:07:17,186 --> 00:07:18,438
〈キッチンは―〉

108
00:07:18,980 --> 00:07:24,360
〈義理の父から逃れ
守ってくれる場所〉

109
00:07:24,735 --> 00:07:26,696
〈よりどころだった〉

110
00:07:28,990 --> 00:07:30,616
苦労人だった

111
00:07:33,369 --> 00:07:37,623
母親は小さな町の
シングルマザー

112
00:07:39,417 --> 00:07:43,754
彼を産んだあと
炭鉱労働者と結婚したの

113
00:07:45,047 --> 00:07:51,554
相手はウルフギャングや
母親たちに暴力を振るった

114
00:07:53,556 --> 00:07:57,226
義父との暮らしはキツくてね

115
00:07:58,769 --> 00:08:00,813
毎日おびえてた

116
00:08:03,065 --> 00:08:04,317
どなられたよ

117
00:08:04,609 --> 00:08:08,988
“怠け者”“役立たず”が
彼の口癖だった

118
00:08:11,616 --> 00:08:15,203
あの声が頭に こびりついた

119
00:08:21,334 --> 00:08:27,798
義父は酔って家に帰ると
幼い僕によく言ったものだ

120
00:08:28,174 --> 00:08:32,386
“森へ行ってくるんだ”
“枝を取ってこい”

121
00:08:33,429 --> 00:08:37,642
自分の身がキュッと
縮むのを感じたよ

122
00:08:39,685 --> 00:08:41,020
そして思った

123
00:08:42,939 --> 00:08:44,482
逃げたいとね

124
00:08:52,323 --> 00:08:58,955
<i>ここはレッドカーペット
今夜はアカデミー賞授賞式です</i>

125
00:08:59,121 --> 00:09:00,331
<i>おめでとう</i>

126
00:09:00,414 --> 00:09:01,874
<i>ありがとう</i>

127
00:09:02,083 --> 00:09:03,125
<i>料理が最高</i>

128
00:09:03,960 --> 00:09:07,797
<i>一足先に ごちそうを紹介</i>

129
00:09:07,922 --> 00:09:11,884
<i>金ぱくで覆った
チョコのオスカー像です</i>

130
00:09:08,464 --> 00:09:10,383
<i>ウルフギャング･パック
準備担当</i>

131
00:09:13,219 --> 00:09:15,137
<i>朗報　ニモを発見</i>

132
00:09:17,598 --> 00:09:20,685
<i>ウルフギャングのパイの中で</i>

133
00:09:24,939 --> 00:09:29,360
フードライターの仕事を
私が始めた1970年代

134
00:09:29,610 --> 00:09:32,613
<i>ルース･ライシェル
フードライター</i>

135
00:09:29,694 --> 00:09:32,613
シェフは労働者の
仕事だった

136
00:09:33,531 --> 00:09:38,119
調理の担当は
注目されてなかったの

137
00:09:39,954 --> 00:09:44,041
ウルフギャングが
状況を一変させた

138
00:09:47,169 --> 00:09:49,130
開店したスパーゴで―

139
00:09:49,589 --> 00:09:54,594
<i>マイケル･オーヴィッツ
共同創立者</i>

140
00:09:49,630 --> 00:09:54,635
前代未聞の挑戦を
彼はやってのけた

141
00:09:55,219 --> 00:09:57,221
セレブが飛びついた

142
00:09:58,889 --> 00:10:00,891
代理人をしていた私は―

143
00:10:01,058 --> 00:10:05,479
顧客に電話するたび
お勧めの店を聞いた

144
00:10:06,022 --> 00:10:08,482
名前はスパーゴばかり

145
00:10:16,449 --> 00:10:22,204
開店から最終受付まで
予約でいっぱいだった

146
00:10:18,326 --> 00:10:22,204
<i>ジャニス･スワーマン
接客主任アシスタント</i>

147
00:10:24,332 --> 00:10:28,002
予約を見て
座席を割りふったの

148
00:10:28,628 --> 00:10:32,757
サンセット大通り沿いに
テーブルが並ぶ

149
00:10:33,174 --> 00:10:35,718
Ｂランクのテーブルは西側

150
00:10:36,302 --> 00:10:40,931
Ａランクは東側にあり
最高の特等席だった

151
00:10:42,975 --> 00:10:47,229
エンタメ業界紙を読んで
情報を集めたの

152
00:10:47,897 --> 00:10:51,942
権力を失えば
座席のランクが下がる

153
00:10:52,109 --> 00:10:53,611
一目瞭然だった

154
00:10:58,240 --> 00:11:00,701
顧客にはショーン･ペン

155
00:11:01,202 --> 00:11:03,120
スティーヴン･セガール

156
00:11:03,704 --> 00:11:05,122
シュワルツェネッガー

157
00:11:05,247 --> 00:11:06,248
カーティス

158
00:11:06,374 --> 00:11:07,416
トム･クルーズ

159
00:11:07,583 --> 00:11:08,626
ニューマンも

160
00:11:09,627 --> 00:11:11,462
マイケル･ケインと―

161
00:11:11,629 --> 00:11:16,258
ショーン･コネリー
シドニー･ポワチエが来店

162
00:11:16,342 --> 00:11:18,719
中央の席に座った
<i>マーク・ピール
料理長</i>

163
00:11:19,470 --> 00:11:21,722
周りは目が離せない

164
00:11:22,139 --> 00:11:23,641
店の日常だ

165
00:11:30,523 --> 00:11:33,401
店が愛されたおかげで―

166
00:11:34,235 --> 00:11:37,530
彼はセレブの間で
評判になったの

167
00:11:38,197 --> 00:11:42,243
そしてシェフへの
見方が変わり始めた

168
00:11:45,454 --> 00:11:46,997
<i>またどうぞ</i>

169
00:12:00,678 --> 00:12:02,888
ミッターグスコーゲルだ

170
00:12:05,099 --> 00:12:09,437
ミッターグスは“正午”で
“正午の山”を意味する

171
00:12:09,937 --> 00:12:14,734
夏場の昼間12時に
太陽が真上に昇るんだ

172
00:12:18,154 --> 00:12:22,658
小さな島が見えるか
あのホテルから泳いだ

173
00:13:07,119 --> 00:13:11,791
子供時代のことを
改めて振り返ると―

174
00:13:12,583 --> 00:13:14,168
本当につらかった

175
00:13:19,548 --> 00:13:21,926
料理が好きになり―

176
00:13:22,259 --> 00:13:24,804
家を出る日が待ち遠しかった

177
00:13:25,763 --> 00:13:28,432
14歳で学校を卒業すると―

178
00:13:28,682 --> 00:13:33,771
コック見習いの仕事を
母が見つけてくれた

179
00:13:34,897 --> 00:13:37,399
でも大喜びしてたら―

180
00:13:37,483 --> 00:13:41,737
“すぐクビになる”と
義父に言われた

181
00:13:41,987 --> 00:13:45,366
“男なら料理するな”とも

182
00:13:47,159 --> 00:13:49,161
その瞬間に決めた

183
00:13:50,162 --> 00:13:52,081
見返してやるとね

184
00:13:55,125 --> 00:13:59,505
ジャガイモの皮むき
キッチンの掃除

185
00:14:00,172 --> 00:14:03,884
料理をしなくても幸せだった

186
00:14:04,051 --> 00:14:09,640
“<i>パークホテル”</i>
<i>オーストリア</i>

187
00:14:05,386 --> 00:14:08,222
“子供は学校に行け”と

188
00:14:08,347 --> 00:14:10,349
みんなに言われたよ

189
00:14:10,432 --> 00:14:13,644
ヘマをしたら家に帰される

190
00:14:14,353 --> 00:14:16,647
それが何より怖かった

191
00:14:18,315 --> 00:14:23,654
ある日 マッシュポテトを
ランチの途中で切らしてね

192
00:14:24,655 --> 00:14:30,077
昼の営業が終わると
シェフはもうカンカンだ

193
00:14:30,202 --> 00:14:32,329
“役立たずめ”と―

194
00:14:32,496 --> 00:14:37,084
顔を真っ赤にし
太鼓腹でどなってくる

195
00:14:37,167 --> 00:14:40,838
こっちは体の小さな
子供だってのに

196
00:14:41,422 --> 00:14:44,675
クビになって追い出されたよ

197
00:14:52,641 --> 00:14:55,436
家には帰れないと思った

198
00:14:57,730 --> 00:15:01,734
義父にだけは
笑われたくなかったんだ

199
00:15:02,359 --> 00:15:04,820
絶対に我慢できない

200
00:15:08,657 --> 00:15:11,368
気付くと辺りは真っ暗

201
00:15:13,412 --> 00:15:17,583
ドラウ川の橋まで
ずっと歩いていった

202
00:15:18,208 --> 00:15:23,797
そして橋の上に立つと
真っ黒い川を見下ろし―

203
00:15:25,049 --> 00:15:26,133
考えた

204
00:15:27,468 --> 00:15:30,596
家では悲観的になっていた

205
00:15:32,097 --> 00:15:35,225
自分は役立たずなんだとね

206
00:15:36,852 --> 00:15:38,270
また同じだ

207
00:15:40,940 --> 00:15:43,150
本当かもしれない

208
00:15:44,276 --> 00:15:45,986
いないほうがいい

209
00:15:48,697 --> 00:15:51,116
きっとそれが答えだ

210
00:15:54,995 --> 00:15:57,414
でも１時間ほどして―

211
00:15:58,540 --> 00:16:04,463
諦めたくない気持ちが
いきなり沸き上がってきた

212
00:16:06,924 --> 00:16:09,093
店に戻ると決めたよ

213
00:16:15,557 --> 00:16:19,770
翌朝６時半
勤め先のホテルへ戻った

214
00:16:21,981 --> 00:16:26,986
でもシェフはどなる
“役立たずは家に帰れ”

215
00:16:28,988 --> 00:16:33,283
抵抗すると
つまみ出されそうになり―

216
00:16:33,492 --> 00:16:35,953
頑として拒んだよ

217
00:16:37,454 --> 00:16:39,748
シェフは困り果て―

218
00:16:40,666 --> 00:16:43,794
ホテルのオーナーに泣きついた

219
00:16:45,212 --> 00:16:49,383
そのあと僕の決意が
固いと分かると―

220
00:16:49,466 --> 00:16:55,305
系列のパークホテルで
様子を見ることになったんだ

221
00:16:57,641 --> 00:17:00,728
まるで天からの贈り物だ

222
00:17:01,895 --> 00:17:04,523
何事も簡単にはいかない

223
00:17:05,315 --> 00:17:07,901
でも諦めたくはない

224
00:17:22,624 --> 00:17:24,418
パンの担当は？

225
00:17:24,626 --> 00:17:25,627
僕です

226
00:17:26,670 --> 00:17:27,588
いいね

227
00:17:33,052 --> 00:17:34,928
前菜？ メイン？

228
00:17:35,512 --> 00:17:36,555
前菜です

229
00:17:40,768 --> 00:17:45,355
スモークサーモンは
開店当時から人気だった

230
00:17:45,481 --> 00:17:49,109
ブリオッシュと
ディルクリームを添える

231
00:17:53,363 --> 00:17:56,867
大忙しだった日のこと

232
00:17:57,576 --> 00:17:59,787
ブリオッシュが切れた

233
00:18:01,455 --> 00:18:04,875
ジョーン･コリンズが
そこへ来店

234
00:18:06,668 --> 00:18:11,340
テレビ界の大スターで
スモークサーモンが大好き

235
00:18:12,466 --> 00:18:16,386
バケットも何もなく
本当に困ったよ

236
00:18:17,137 --> 00:18:19,598
彼女を怒らせたくない

237
00:18:23,769 --> 00:18:26,105
ピザ生地を伸ばした

238
00:18:28,065 --> 00:18:30,192
玉ねぎを載せて―

239
00:18:32,402 --> 00:18:34,404
数分さっと焼く

240
00:18:36,156 --> 00:18:41,286
ディルクリームを塗り
スモークサーモンを並べる

241
00:18:42,746 --> 00:18:46,583
仕上げに
キャビアを少々添える

242
00:18:46,750 --> 00:18:47,668
完璧だ

243
00:18:50,712 --> 00:18:56,093
最高の料理を生むのは
ルールを知り 壊せる人

244
00:18:51,046 --> 00:18:56,093
<i>ナンシー・シルバートン
ペストリーシェフ</i>

245
00:18:57,719 --> 00:19:03,517
スモークサーモン･ピザは
トマトソースもチーズも無し

246
00:19:04,101 --> 00:19:06,103
簡単そうだけど―

247
00:19:06,353 --> 00:19:09,648
どこにも存在しなかったの

248
00:19:11,358 --> 00:19:17,364
<i>何の料理かは謎でも
気に入ること請け合い</i>

249
00:19:18,282 --> 00:19:23,453
食べ物に関するとなると
誰とも違う道を選ぶ

250
00:19:21,994 --> 00:19:25,247
<i>ローリー･オチョア
エディター</i>

251
00:19:23,620 --> 00:19:25,247
冒険する

252
00:19:28,458 --> 00:19:29,501
シノワでは―

253
00:19:30,210 --> 00:19:35,674
中国料理を作るのに
フレンチの調理法を応用した

254
00:19:36,967 --> 00:19:38,886
フュージョンの始まり

255
00:19:47,436 --> 00:19:51,190
彼が作ったサラダを
きっかけに―

256
00:19:51,648 --> 00:19:55,402
アジア風チキンサラダの
人気が爆発

257
00:19:55,527 --> 00:20:00,240
<i>エヴァン・フンケ
コック</i>

258
00:19:55,569 --> 00:20:00,240
ブームのおかげで
今ではスーパーでも買える

259
00:20:00,449 --> 00:20:04,494
パック入りで売ってる
元祖は彼だ

260
00:20:04,620 --> 00:20:06,705
<i>チャイニーズ・チキンサラダ？</i>

261
00:20:06,788 --> 00:20:08,123
<i>極上のね</i>

262
00:20:10,459 --> 00:20:15,464
発明とは思いがけず
生まれるものだと思う

263
00:20:16,256 --> 00:20:20,010
必要に迫られ
いいものが生まれる

264
00:20:39,196 --> 00:20:43,909
パークホテルで働けて
本当にツイてた

265
00:20:45,035 --> 00:20:48,622
フライドポテトの仕込み
玉ねぎの皮むき

266
00:20:48,997 --> 00:20:52,125
パンケーキの作り方も習った

267
00:20:52,834 --> 00:20:55,754
そして徐々に上達したよ

268
00:20:57,339 --> 00:21:00,676
〈ウイーン風
カツレツをどうぞ〉

269
00:21:00,759 --> 00:21:01,551
〈ありがとう〉

270
00:21:01,718 --> 00:21:02,844
〈ごゆっくり〉

271
00:21:03,136 --> 00:21:03,929
〈どうも〉

272
00:21:06,932 --> 00:21:07,933
〈よし〉

273
00:21:08,267 --> 00:21:10,936
自分が誇らしかったよ

274
00:21:11,061 --> 00:21:15,857
豆やにんじんを炒め
チキンスープを作った

275
00:21:16,525 --> 00:21:20,404
やっていることに
自信が持てたよ

276
00:21:27,953 --> 00:21:31,373
見習いになって約２年半

277
00:21:31,748 --> 00:21:34,751
ホテルでは
フランス東部の店が―

278
00:21:35,377 --> 00:21:38,880
１週間だけ料理を
出すことになった

279
00:21:42,759 --> 00:21:45,762
見たことのない技法ばかり

280
00:21:48,432 --> 00:21:53,312
フランス料理には
大いに刺激を受けたよ

281
00:21:53,395 --> 00:21:56,857
現地で学ばねばと強く感じた

282
00:22:02,070 --> 00:22:05,949
19歳で入ったのが
ボーマニエールだ

283
00:22:06,074 --> 00:22:08,744
三つ星の有名店さ

284
00:22:06,825 --> 00:22:10,203
“<i>ボーマニエール”</i>
<i>フランス　プロヴァンス</i>

285
00:22:10,329 --> 00:22:14,207
コックたちの中で
僕が一番若く―

286
00:22:14,333 --> 00:22:17,336
言葉も分からない　大変だよ

287
00:22:19,796 --> 00:22:23,425
店の大農園には
作業員もいて―

288
00:22:23,967 --> 00:22:29,306
極上のサヤマメやアンズ
メロンを育ててるんだ

289
00:22:30,098 --> 00:22:33,310
最高の食材で料理ができた

290
00:22:34,144 --> 00:22:38,440
風味がすばらしいんだ
初めての味だった

291
00:22:38,857 --> 00:22:41,234
まさに衝撃だったよ

292
00:22:42,903 --> 00:22:46,948
<i>レイモン・チュリエ
オーナー</i>

293
00:22:43,695 --> 00:22:46,948
オーナーのレイモンは
完璧主義者だ

294
00:22:49,076 --> 00:22:52,120
ソースの味見を命じられ―

295
00:22:52,704 --> 00:22:57,000
レモン汁とコショウを
足してはと答えた

296
00:22:57,125 --> 00:22:59,378
すると彼は“入れろ”と

297
00:23:02,255 --> 00:23:05,342
味を確かめると彼は言った

298
00:23:05,842 --> 00:23:06,635
“ずっといい”

299
00:23:09,930 --> 00:23:12,599
認めてもらったと感じたよ

300
00:23:12,724 --> 00:23:18,230
レイモンのおかげで
自信を持つことができた

301
00:23:20,190 --> 00:23:25,320
彼を師匠として心から
尊敬するようになった

302
00:23:26,446 --> 00:23:29,950
彼のようなシェフに
なりたいとね

303
00:23:30,409 --> 00:23:35,414
“<i>ロアジス”</i>
<i>フランス　ラーナプール</i>

304
00:23:46,091 --> 00:23:47,843
フランスでは―

305
00:23:48,093 --> 00:23:52,389
人生が好転した
ずっと上り調子さ

306
00:23:54,099 --> 00:23:56,810
よく将来のことを考えた

307
00:23:58,145 --> 00:24:02,941
義父への恨みは消えず
関わる気はなかった

308
00:24:03,567 --> 00:24:07,487
家族とは１年半
話さなかったよ

309
00:24:08,947 --> 00:24:10,949
手紙も書かなかった

310
00:24:12,617 --> 00:24:16,955
できる限り距離を
置こうと思ってたんだ

311
00:24:28,091 --> 00:24:29,468
ウルフギャングが―

312
00:24:30,760 --> 00:24:36,016
フランスに旅立ち
母たちはつらそうだった

313
00:24:38,185 --> 00:24:42,481
〈祖母が入院して
死期が迫っても―〉

314
00:24:42,981 --> 00:24:46,610
〈何ひとつ
連絡がなかったの〉

315
00:24:48,778 --> 00:24:50,614
〈祖母は泣いてた〉

316
00:24:50,822 --> 00:24:54,910
〈一目でいいから
会いたいと言ってたわ〉

317
00:24:57,078 --> 00:24:59,664
〈でも見込みはない〉

318
00:25:02,918 --> 00:25:07,422
ある日のこと
洗い場担当に言われたんだ

319
00:25:08,006 --> 00:25:09,674
“ラジオによると―”

320
00:25:09,758 --> 00:25:13,845
“オーストリア大使館が
君を探してる”

321
00:25:15,639 --> 00:25:18,475
“音信不通で
行方も知れず―”

322
00:25:19,351 --> 00:25:20,852
“死んだのか”と

323
00:25:21,561 --> 00:25:24,731
母に手紙を書いて知らせたよ

324
00:25:24,814 --> 00:25:27,901
“元気だから心配ない”とね

325
00:25:30,111 --> 00:25:34,908
家族のことを顧みず
後ろめたいと思った

326
00:25:35,700 --> 00:25:39,955
それでも実家には
帰らないと決めたんだ

327
00:25:50,257 --> 00:25:53,260
アメリカは若者の憧れだった

328
00:25:54,094 --> 00:25:57,597
誰もが金持ちで
高級車に乗ってる

329
00:25:58,974 --> 00:26:02,602
24歳のとき
カリフォルニアへ渡った

330
00:26:04,187 --> 00:26:05,647
金なんてない

331
00:26:06,273 --> 00:26:11,111
老人専用アパートで
友達と住み始めたんだ

332
00:26:11,861 --> 00:26:14,573
ゴキブリだらけの部屋だ

333
00:26:14,906 --> 00:26:16,575
しかたがないさ

334
00:26:17,909 --> 00:26:23,498
夜間担当のシェフとして
レストランで働き始めた

335
00:26:23,582 --> 00:26:26,501
ボーマニエールとは大違い

336
00:26:27,252 --> 00:26:29,921
食材は冷凍モノばかり

337
00:26:30,005 --> 00:26:31,798
新鮮な食材はなし

338
00:26:32,591 --> 00:26:36,553
ステーキは焼きが甘いと
突き返される

339
00:26:36,678 --> 00:26:40,640
想像してた世界は
あまりに違いすぎた

340
00:26:40,807 --> 00:26:41,975
最悪だ

341
00:26:42,642 --> 00:26:47,522
<i>私は魔術師
魔法の冷凍食品を召し上がれ</i>

342
00:26:47,981 --> 00:26:54,279
<i>子供にはオヤツが必要
成長をグーンと助けます
</i>

343
00:26:54,613 --> 00:27:00,368
<i>玉ねぎやニンニクは
刻まないで</i>

344
00:27:00,785 --> 00:27:05,498
1970年代の食生活を
思い出すのも難しい

345
00:27:07,626 --> 00:27:09,127
恥ずかしいわ

346
00:27:10,378 --> 00:27:15,383
ハンバーガーにホットドック
ひどい食事ばかりよ

347
00:27:18,011 --> 00:27:20,722
食材は味気なく―

348
00:27:20,805 --> 00:27:24,434
作った食べ物には
風味や香りがない

349
00:27:26,686 --> 00:27:31,483
フランスのシェフなら
すべて輸入するはず

350
00:27:33,652 --> 00:27:38,531
レストラン料理といえば
肉のソースがけと―

351
00:27:38,823 --> 00:27:40,825
フランベのデザート

352
00:27:41,785 --> 00:27:43,787
パターン化してた

353
00:27:50,585 --> 00:27:54,798
ダウンタウンで
２ヵ月も働いたころ―

354
00:27:55,256 --> 00:27:58,593
買い物に出たときだった

355
00:27:59,260 --> 00:28:04,391
パリ時代の友達と再会し
近況を尋ねたんだ

356
00:28:04,849 --> 00:28:08,436
マ･メゾンという店で
彼は働いてた

357
00:28:10,105 --> 00:28:12,023
オーナーの親戚は―

358
00:28:12,107 --> 00:28:13,817
有名店の経営者だ

359
00:28:14,484 --> 00:28:16,778
三つ星レストランのね

360
00:28:16,861 --> 00:28:21,491
いい店に違いないと
仕事の口利きを頼んだ

361
00:28:23,993 --> 00:28:27,997
紹介してもらい
本当にワクワクしたよ

362
00:28:28,998 --> 00:28:32,669
でも初日
目に入ったのは―

363
00:28:33,086 --> 00:28:37,006
人工芝の床や
プラスチックの椅子

364
00:28:37,382 --> 00:28:41,678
ウォークイン冷蔵庫も
置いてなかった

365
00:28:41,928 --> 00:28:46,307
有名店のオーナーが
親戚にいるとは思えない

366
00:28:46,558 --> 00:28:51,438
“<i>パトリック･テライユと</i>
<i>マ・メゾンの新時代</i>”

367
00:28:49,185 --> 00:28:51,396
パトリックは傲慢

368
00:28:52,522 --> 00:28:57,193
いいスーツを着て
花を胸元に刺してる

369
00:28:57,736 --> 00:29:01,573
高級店のオーナーを
気取ってたが―

370
00:29:01,823 --> 00:29:03,408
とんでもない

371
00:29:04,033 --> 00:29:07,579
“<i>マ･メゾンは彼の城</i>”

372
00:29:04,576 --> 00:29:11,207
1980年ごろのオーナーは
自分を大物だと思ってた

373
00:29:11,666 --> 00:29:16,796
彼らにとってシェフは
単なる労働者にすぎない

374
00:29:16,921 --> 00:29:17,797
消耗品よ

375
00:29:21,593 --> 00:29:24,220
<i>パトリック・テライユ
オーナー</i>

376
00:29:22,010 --> 00:29:24,179
店は理想だった

377
00:29:24,804 --> 00:29:26,389
私が生んだ芸術

378
00:29:26,598 --> 00:29:28,391
私の映画だった

379
00:29:29,976 --> 00:29:33,646
雇った当初
ウルフギャングは―

380
00:29:33,730 --> 00:29:38,193
アメリカ人の料理を
分かってなかった

381
00:29:40,403 --> 00:29:43,990
店で働き始めて
２週間後だった

382
00:29:44,449 --> 00:29:46,409
最悪の批評が出たんだ

383
00:29:46,701 --> 00:29:48,703
“煮過ぎ”<i>“脂っこい”</i>
<i>“焦げてる”</i>

384
00:29:48,787 --> 00:29:53,249
<i>“レストランを
開く方法と悪い見本”</i>

385
00:29:49,746 --> 00:29:55,627
彼はシェフをクビにして
僕に引き継ぐよう命じた

386
00:29:56,711 --> 00:29:58,129
まあ驚いたよ

387
00:29:59,130 --> 00:30:02,091
ともかく店の評判は最悪

388
00:30:02,550 --> 00:30:04,969
冷蔵庫を開けて驚いたね

389
00:30:05,386 --> 00:30:09,390
入ってたのは
なんと冷凍肉だけ

390
00:30:10,517 --> 00:30:12,685
とても料理はできない

391
00:30:18,358 --> 00:30:22,153
“<i>スパーゴ</i>”

392
00:30:31,329 --> 00:30:36,459
マ･メゾンの名前を出すと
周囲には笑われた

393
00:30:37,460 --> 00:30:41,548
店選びに失敗したと
言われてね

394
00:30:43,842 --> 00:30:47,428
隣の芝生は青く見えるものだ

395
00:30:48,346 --> 00:30:52,851
自分の居場所に文句を言い
辞めようとする

396
00:30:54,769 --> 00:30:56,354
でも思うに―

397
00:30:56,855 --> 00:30:59,482
水をやれば芝生は育つ

398
00:31:01,484 --> 00:31:06,281
努力し仕事に励めば
事態はきっと良くなる

399
00:31:11,077 --> 00:31:14,747
店の料理は本当にひどかった

400
00:31:15,206 --> 00:31:18,334
どう改善しようかと考えたよ

401
00:31:19,502 --> 00:31:23,590
最高の食材を使えば
しくじりっこない

402
00:31:24,716 --> 00:31:29,929
<i>サンディエゴの北にある
地味な直売所には―</i>

403
00:31:30,096 --> 00:31:34,475
<i>相反する派手な車がズラリ</i>

404
00:31:34,851 --> 00:31:40,481
<i>目当てはトム･チノが作る
新鮮な果物や野菜です</i>

405
00:31:41,065 --> 00:31:45,320
ランチョ･サンタフェの
チノ農場で―

406
00:31:45,653 --> 00:31:48,698
野菜を目の当たりにした

407
00:31:48,948 --> 00:31:51,367
思わず胸が高鳴った

408
00:31:51,784 --> 00:31:52,785
すごいんだ

409
00:31:52,994 --> 00:31:57,790
ボーマニエールで
使ってた野菜並みにいい

410
00:32:02,211 --> 00:32:06,966
ロスでは彼が最初に
チノ農場を見つけ―

411
00:32:07,717 --> 00:32:11,137
最高の農産物を使い始めた

412
00:32:12,555 --> 00:32:17,477
すると料理はシンプル
かつ風味豊かなものに

413
00:32:18,603 --> 00:32:20,396
驚くようなサラダよ

414
00:32:21,022 --> 00:32:22,941
まるで別物なの

415
00:32:24,692 --> 00:32:26,527
斬新だったわ

416
00:32:31,574 --> 00:32:35,828
店では食材の質が
重視されるようになった

417
00:32:36,204 --> 00:32:37,330
<i>マグロは？</i>

418
00:32:37,997 --> 00:32:40,500
彼は毎日 魚市場へ行き―

419
00:32:40,833 --> 00:32:45,588
毎週２時間かけて
野菜を受け取りに行った

420
00:32:46,214 --> 00:32:48,091
そんな人はいない

421
00:32:50,009 --> 00:32:55,056
これまでとは全く違う
アメリカ料理が生まれた

422
00:32:55,890 --> 00:33:00,728
すべてがフュージョンし
カリフォルニアを思わせる

423
00:33:00,812 --> 00:33:05,483
そういう料理を
ウルフギャングは提供したの

424
00:33:05,692 --> 00:33:07,068
<i>“マ･メゾン”</i>

425
00:33:07,443 --> 00:33:10,571
最初の半年間は苦労した

426
00:33:10,655 --> 00:33:14,534
やがて店は徐々に
上向き始めたんだ

427
00:33:14,617 --> 00:33:16,494
誇らしかったよ

428
00:33:16,661 --> 00:33:20,999
<i>“マ･メゾンは
昼食をパーティーに”</i>

429
00:33:18,371 --> 00:33:22,709
予約が取れない店になった

430
00:33:24,627 --> 00:33:27,755
ウルフギャングは
客前に出ず―

431
00:33:28,339 --> 00:33:31,342
斬新な料理を作ってた

432
00:33:33,386 --> 00:33:38,391
だがパトリックを中心に
店は回っていたんだ

433
00:33:45,106 --> 00:33:49,152
<i>料理が素晴らしい
マ･メゾンは―</i>

434
00:33:49,444 --> 00:33:51,571
<i>話題のランチスポット</i>

435
00:33:51,654 --> 00:33:56,367
<i>客席が元駐車場でも
誰も気にしません</i>

436
00:33:56,701 --> 00:33:59,662
<i>流行に敏感な人々は―</i>

437
00:33:59,746 --> 00:34:02,582
<i>予約を取ろうと
画策しています</i>

438
00:34:04,500 --> 00:34:06,919
もうメチャクチャだった

439
00:34:07,003 --> 00:34:08,588
<i>ロブスターを…</i>

440
00:34:08,796 --> 00:34:12,175
早朝 ダウンタウンの市場へ

441
00:34:12,341 --> 00:34:15,303
新鮮な食材を仕入れて運ぶ

442
00:34:15,386 --> 00:34:19,515
夕方から深夜までは
それこそ働きづめ

443
00:34:19,766 --> 00:34:24,812
そのあとクラブに繰り出し
明け方まで過ごす

444
00:34:24,896 --> 00:34:26,981
それも毎日だった

445
00:34:31,360 --> 00:34:33,821
ある晩 女の子と踊った

446
00:34:34,530 --> 00:34:36,491
職業を聞かれたので―

447
00:34:36,783 --> 00:34:40,620
コックだと言うと
彼女は僕を見た

448
00:34:43,081 --> 00:34:47,335
そして曲が終わると
立ち去ったんだ

449
00:34:47,585 --> 00:34:51,464
彼女のつま先を
踏んでもいないのに

450
00:34:51,964 --> 00:34:56,385
次からはレーサーだと
答えることにしたよ

451
00:34:57,261 --> 00:34:59,680
<i>そして牛乳を卵白へ…</i>

452
00:34:59,847 --> 00:35:03,893
当時は店で料理教室を
やってたんだ

453
00:35:04,060 --> 00:35:07,980
バターソースを
作っていた日だった

454
00:35:08,314 --> 00:35:10,316
バーバラを見つけた

455
00:35:11,901 --> 00:35:14,237
教室に入って座ると―

456
00:35:14,737 --> 00:35:18,116
彼が顔を上げて
私に気付いたの

457
00:35:15,279 --> 00:35:22,620
<i>バーバラ･ラザロフ
共同経営者</i>

458
00:35:18,199 --> 00:35:22,620
そのとき持ってた
大きなバターの塊を―

459
00:35:22,745 --> 00:35:26,582
彼はうっかり床に
落としてしまった

460
00:35:27,416 --> 00:35:28,501
そこからは―

461
00:35:29,085 --> 00:35:32,130
かなり進展が早かったわ

462
00:35:37,760 --> 00:35:39,512
バーバラはきれいで―

463
00:35:40,721 --> 00:35:43,724
社交的で賢く 才能があった

464
00:35:47,520 --> 00:35:51,524
彼は優しくて
仕事への情熱があった

465
00:35:52,733 --> 00:35:55,903
ある意味つかみどころがない

466
00:35:56,821 --> 00:35:58,197
冗談を言ったわ

467
00:35:58,447 --> 00:36:04,078
“にんじんの格好をしたら
もっと気を引けるかも”って

468
00:36:04,954 --> 00:36:06,956
でも手強いのは好き

469
00:36:10,293 --> 00:36:14,922
ウルフギャングの背中を
バーバラが押した

470
00:36:16,465 --> 00:36:20,178
彼が天才的なシェフだと―

471
00:36:21,220 --> 00:36:22,680
見抜いたの

472
00:36:23,306 --> 00:36:27,810
そして安売りはダメだと
彼に気付かせた

473
00:36:35,067 --> 00:36:37,236
<i>いい焼き色だ</i>

474
00:36:37,737 --> 00:36:40,615
<i>皮目から焼くのがコツ？</i>

475
00:36:40,698 --> 00:36:42,450
<i>必ずね</i>

476
00:36:43,993 --> 00:36:49,957
ウルフギャングはいつも
仕事の夢や願望を語ってた

477
00:36:50,082 --> 00:36:53,211
店を持ちたいと思ってたの

478
00:36:53,502 --> 00:36:56,047
もちろん賛成したわ

479
00:36:56,130 --> 00:36:58,341
<i>ベーコンの脂を使って―</i>

480
00:36:58,424 --> 00:37:00,509
<i>野菜を炒める</i>

481
00:37:01,010 --> 00:37:02,970
給与明細を見つけて―

482
00:37:03,179 --> 00:37:06,849
確認すると彼のモノだった

483
00:37:07,308 --> 00:37:11,771
彼の働きに対し
まったく見合ってない

484
00:37:12,313 --> 00:37:17,360
給料を２倍にするよう
掛け合えと言ったの

485
00:37:20,279 --> 00:37:25,201
パトリックとは結局
６年働いた末に交渉した

486
00:37:25,368 --> 00:37:28,913
でも共同経営者に
する代わり―

487
00:37:29,789 --> 00:37:33,292
給料を下げると言われたんだ

488
00:37:33,459 --> 00:37:35,878
<i>“マ･メゾン”</i>

489
00:37:35,962 --> 00:37:39,548
以前マ･メゾンは
潰れかけてたが―

490
00:37:40,883 --> 00:37:43,844
僕のおかげで持ち直した

491
00:37:45,179 --> 00:37:47,765
なのに手柄は彼が独占

492
00:37:50,017 --> 00:37:52,812
つくづく思い知らされた

493
00:37:53,020 --> 00:37:56,274
僕は重要じゃないんだとね

494
00:37:59,193 --> 00:38:01,570
店はアメリカの象徴だ

495
00:38:02,196 --> 00:38:04,615
ウルフギャングは
関係ない

496
00:38:04,949 --> 00:38:08,202
マ･メゾンは まさに我が家だ

497
00:38:08,828 --> 00:38:11,956
この手でゼロから築き上げた

498
00:38:14,667 --> 00:38:20,506
そこでパトリックには
完璧に対等な関係を求めたよ

499
00:38:21,048 --> 00:38:25,052
有名店を経営する叔父は
あきれてた

500
00:38:25,511 --> 00:38:26,804
“ありえない”

501
00:38:27,722 --> 00:38:31,058
“あいつは
単なるシェフだ”と

502
00:38:31,475 --> 00:38:33,561
彼は指をさして言った

503
00:38:34,061 --> 00:38:37,023
“権利の51％は常に握る”と

504
00:38:37,898 --> 00:38:40,484
こちらも譲らなかった

505
00:38:41,986 --> 00:38:46,115
交渉は決裂し
僕は店を辞めると決めた

506
00:39:01,756 --> 00:39:05,593
自分の店が欲しいと
思い続けてた

507
00:39:06,552 --> 00:39:08,220
長年の夢だよ

508
00:39:10,473 --> 00:39:14,060
マ･メゾンは
ロスで屈指の店

509
00:39:14,727 --> 00:39:18,689
頂点を極めたのに
辞めるなんて愚かだ

510
00:39:26,155 --> 00:39:28,199
パトリックは新聞に―

511
00:39:28,366 --> 00:39:32,411
コックの僕は
経営を知らないと語った

512
00:39:33,037 --> 00:39:36,457
“どうせ３ヵ月で
音を上げる”

513
00:39:37,083 --> 00:39:39,418
“仕事をねだりに戻る”と

514
00:39:40,169 --> 00:39:42,630
“<i>ウルフギャングと</i>
<i>オーナーは</i>”
&nbsp;

515
00:39:41,754 --> 00:39:45,257
まさにデジャブだった

516
00:39:42,713 --> 00:39:45,257
“<i>もはや</i>
<i>ファミリーではない</i>”

517
00:39:46,592 --> 00:39:50,763
義父のひどい仕打ちが
よみがえったよ

518
00:39:51,806 --> 00:39:54,308
失敗するのが怖くてね

519
00:39:56,227 --> 00:40:00,189
才能と情熱があり
ひたむきな人だけど―

520
00:40:01,065 --> 00:40:03,818
彼は客観視できない

521
00:40:04,360 --> 00:40:08,447
当時は失敗を恐れ
よく悪夢を見てたわ

522
00:40:09,740 --> 00:40:12,493
だから私は言い続けた

523
00:40:13,536 --> 00:40:14,620
“大丈夫”と

524
00:40:25,047 --> 00:40:30,261
不安に苦しむなか
バーバラが支えてくれた

525
00:40:32,221 --> 00:40:35,683
僕ならできると
信じてくれてね

526
00:40:38,477 --> 00:40:41,397
彼女のおかげで思い出した

527
00:40:41,897 --> 00:40:43,065
辞めるものか

528
00:40:43,983 --> 00:40:46,026
僕は諦めない男だ

529
00:40:49,697 --> 00:40:54,869
本当に事業ができるか
確証はなかったはず

530
00:40:54,952 --> 00:40:57,079
初めての挑戦だもの

531
00:40:59,206 --> 00:41:02,460
でも決断するべき時期だった

532
00:41:02,668 --> 00:41:05,588
思い切って飛び込むか

533
00:41:05,671 --> 00:41:11,510
陰の存在に甘んじ
一生キッチンの奥で過ごすか

534
00:41:11,677 --> 00:41:12,887
彼は飛んだ

535
00:41:32,573 --> 00:41:35,826
ハリウッドで店が見つかった

536
00:41:36,494 --> 00:41:37,578
思い切ったわ

537
00:41:38,245 --> 00:41:39,872
中は荒れ放題

538
00:41:40,080 --> 00:41:42,875
私たちは
研磨機を持ち込み―

539
00:41:42,958 --> 00:41:48,005
長年壁にこびりつく
分厚い油汚れを落とした

540
00:41:48,923 --> 00:41:54,595
テーブル裏のガムは
何日もかけて落としたわ

541
00:41:55,054 --> 00:41:59,099
お金がないから
自分たちでやったの

542
00:42:05,105 --> 00:42:09,735
ウルフギャングは
小さなピザ店を考えてた

543
00:42:09,985 --> 00:42:14,448
フランス南部で
彼が通ったような店よ

544
00:42:14,740 --> 00:42:16,242
素朴な雰囲気

545
00:42:16,575 --> 00:42:19,537
でもバーバラが反対したの

546
00:42:20,037 --> 00:42:22,706
野心的に行くべきだと

547
00:42:28,712 --> 00:42:32,967
演劇のセットを
手がけた経験が役立った

548
00:42:33,050 --> 00:42:35,302
料理はショーなの

549
00:42:35,594 --> 00:42:39,014
店は劇場　そして彼はスター

550
00:42:39,723 --> 00:42:44,144
消防署の番号を
電話で教えてもらい―

551
00:42:44,687 --> 00:42:49,108
開店に先立ち
問い合わせてみたの

552
00:42:49,608 --> 00:42:54,822
まきを使うピザ窯が
開放的なキッチンに並ぶ

553
00:42:55,197 --> 00:42:59,577
そのような配置が
問題ないか聞くと―

554
00:42:59,743 --> 00:43:01,287
大丈夫だった

555
00:43:01,912 --> 00:43:05,708
電話を切って
彼にできると言ったわ

556
00:43:10,713 --> 00:43:12,673
開店日になっても―

557
00:43:12,923 --> 00:43:15,634
店の工事が終わらない

558
00:43:15,718 --> 00:43:17,970
メニューの準備だって

559
00:43:22,016 --> 00:43:23,225
当日になり―

560
00:43:23,559 --> 00:43:27,187
最終的な許可がやっと下りた

561
00:43:27,313 --> 00:43:30,566
コンロをつけて
料理を始めたよ

562
00:43:30,816 --> 00:43:34,069
まさに不眠不休の作業

563
00:43:35,321 --> 00:43:39,033
電気が通じたのは
当日の夕方よ

564
00:43:41,243 --> 00:43:43,078
開店が迫っても―

565
00:43:43,162 --> 00:43:47,291
はだしのまま
カウンターに立ってたわ

566
00:43:47,499 --> 00:43:49,501
あれこれ整えてね

567
00:43:49,585 --> 00:43:52,588
料理を運んで着替えて…

568
00:43:53,047 --> 00:43:56,258
そうして ついに開店した

569
00:43:58,510 --> 00:44:00,095
うれしい悲鳴よ

570
00:44:08,520 --> 00:44:12,941
驚いたことに店は
初日から大繁盛だった

571
00:44:13,192 --> 00:44:14,943
感動したよ

572
00:44:16,278 --> 00:44:20,282
顧客が殺到して
毎晩とにかく忙しい

573
00:44:25,245 --> 00:44:28,916
予約の１時間半後
座れるかどうか

574
00:44:30,209 --> 00:44:33,879
店は大変な熱気に
満ちあふれてた

575
00:44:38,133 --> 00:44:41,804
最前列のキッチンは
にぎやかでね

576
00:44:41,887 --> 00:44:43,972
熱気も炎もすごい

577
00:44:45,099 --> 00:44:48,811
できる限り早くピザを焼いた

578
00:44:49,853 --> 00:44:52,731
いい香りが漂って―

579
00:44:52,815 --> 00:44:55,734
料理が次々と運ばれるの

580
00:45:00,364 --> 00:45:03,367
何の料理だと
聞かれるから―

581
00:45:03,617 --> 00:45:07,955
パステルを買い
メニューをデザインした

582
00:45:08,372 --> 00:45:13,127
“カリフォルニア料理”と
入れると好評だった

583
00:45:10,958 --> 00:45:13,127
<i>“スパーゴ
カリフォルニア料理”</i>

584
00:45:14,211 --> 00:45:15,838
<i>“カリフォルニアが
書いた新メニュー”</i>

585
00:45:15,963 --> 00:45:17,464
<i>“これぞ
カリフォルニア料理”</i>

586
00:45:17,756 --> 00:45:20,884
彼の料理は
最高のピザとサラダ

587
00:45:20,968 --> 00:45:24,555
そしてグリル料理
どれもヘルシー

588
00:45:25,723 --> 00:45:28,183
カリフォルニア料理は―

589
00:45:28,600 --> 00:45:30,185
彼の作品だ

590
00:45:30,352 --> 00:45:32,730
<i>“新たな人生”</i>

591
00:45:32,896 --> 00:45:34,773
<i>“料理の腕で成功”</i>

592
00:45:36,150 --> 00:45:40,529
オープンキッチンが
彼の個性を決定づけた

593
00:45:41,321 --> 00:45:43,073
あんな店は初めて

594
00:45:44,700 --> 00:45:46,535
毎晩 こう言った

595
00:45:47,161 --> 00:45:48,120
“開幕よ”

596
00:45:48,287 --> 00:45:50,497
あれこそがスパーゴ

597
00:45:53,917 --> 00:45:57,421
開店の翌年
有名紙に記事が出た

598
00:45:57,671 --> 00:45:59,715
私たちの店が―

599
00:45:57,671 --> 00:46:02,926
<i>“マンハッタンの
スパーゴ化”</i>

600
00:46:01,300 --> 00:46:06,138
人々の食生活に
１年で影響をもたらした

601
00:46:07,264 --> 00:46:11,643
カジュアルな雰囲気
オープンキッチンのシェフ

602
00:46:11,727 --> 00:46:15,105
店のすべてが革命的だったの

603
00:46:15,272 --> 00:46:17,983
<i>“パックが
ニューヨークを救った！”</i>

604
00:46:20,736 --> 00:46:23,155
<i>“フランス料理の
シェフ”</i>

605
00:46:23,238 --> 00:46:26,742
<i>“ジュリア･チャイルド”</i>

606
00:46:26,950 --> 00:46:32,039
<i>今日はローストチキンを
作ります</i>

607
00:46:32,539 --> 00:46:38,212
<i>動物の群れを表す言葉は
いろいろある</i>

608
00:46:38,462 --> 00:46:41,298
<i>ニワトリの群れは
ピープと言うのよ</i>

609
00:46:41,381 --> 00:46:42,841
1980年代―

610
00:46:43,091 --> 00:46:47,346
有名シェフは
ジュリア･チャイルドだけ

611
00:46:48,847 --> 00:46:52,643
地方局の料理番組は
多かったが―

612
00:46:52,851 --> 00:46:54,853
全国区とはならない

613
00:46:57,648 --> 00:46:58,690
<i>にんじん</i>

614
00:47:00,901 --> 00:47:02,110
<i>マッシュルーム</i>

615
00:47:03,237 --> 00:47:08,283
<i>カタツムリは食材として
輸入されたもの</i>

616
00:47:09,910 --> 00:47:16,124
<i>豆腐はあまり味がないので
味付けが必要</i>

617
00:47:16,750 --> 00:47:20,796
ウルフギャングは
すぐ評判になった

618
00:47:21,088 --> 00:47:22,422
<i>届けたいよ</i>

619
00:47:24,341 --> 00:47:27,344
友人として彼に勧めたんだ

620
00:47:27,761 --> 00:47:29,263
テレビに出ろと

621
00:47:31,890 --> 00:47:37,646
店にテレビ局の社長を
連れていくのが一番だった

622
00:47:40,858 --> 00:47:44,027
ウルフギャングと
打ち合わせたよ

623
00:47:44,695 --> 00:47:49,408
もてなしは最高かつ
正統派のメニューで

624
00:47:58,834 --> 00:48:00,961
ワインもたっぷり

625
00:48:04,089 --> 00:48:06,383
ディナーの終わりに―

626
00:48:06,466 --> 00:48:11,471
彼を朝の情報番組に
出さないかと提案した

627
00:48:11,722 --> 00:48:15,225
すると社長は
快諾してくれたよ

628
00:48:16,310 --> 00:48:18,228
代理人として―

629
00:48:18,604 --> 00:48:22,608
ナプキンに記載し
その場でサインさせた

630
00:48:23,066 --> 00:48:24,943
以上　契約は成立

631
00:48:25,068 --> 00:48:27,654
<i>“グッド･モーニング･</i>
<i>アメリカ</i>”

632
00:48:28,447 --> 00:48:32,075
<i>若きセレブシェフのパック氏</i>

633
00:48:32,159 --> 00:48:36,496
<i>有名人を顧客に持つ彼が
料理します</i>

634
00:48:36,580 --> 00:48:37,915
<i>ようこそ</i>

635
00:48:38,415 --> 00:48:39,416
<i>今日は？</i>

636
00:48:39,499 --> 00:48:41,585
<i>豪華ハンバーガーを</i>

637
00:48:41,793 --> 00:48:42,628
<i>ここに…</i>

638
00:48:42,711 --> 00:48:47,174
全国ネットの生放送に
初めて出演した

639
00:48:47,424 --> 00:48:49,343
一大事だったよ

640
00:48:49,426 --> 00:48:50,636
<i>ブルーチーズを少々</i>

641
00:48:51,011 --> 00:48:55,849
料理には自信があったが
カメラには動揺した

642
00:48:56,892 --> 00:49:00,437
完璧にこなせば
また出られる

643
00:49:00,520 --> 00:49:02,981
<i>中に入れて包む</i>

644
00:49:03,065 --> 00:49:08,028
成功の判断材料として
テレビ局が重視したのは―

645
00:49:08,195 --> 00:49:11,198
反響の電話が何本あるか

646
00:49:11,281 --> 00:49:13,075
<i>さっと焼きます</i>

647
00:49:13,575 --> 00:49:15,953
彼が初登場したあとは―

648
00:49:16,286 --> 00:49:19,873
社員総出で
親戚に電話をさせた

649
00:49:20,123 --> 00:49:24,127
ロサンゼルスや
ニューヨークでは―

650
00:49:24,544 --> 00:49:27,881
シェフへの
問い合わせが殺到した

651
00:49:28,048 --> 00:49:30,550
“彼は素敵”
“レシピが最高”

652
00:49:30,759 --> 00:49:33,303
こうして売り出しは成功

653
00:49:33,428 --> 00:49:36,306
彼は一躍 人気者になった

654
00:49:37,015 --> 00:49:38,016
<i>やあ元気？</i>

655
00:49:38,850 --> 00:49:39,768
<i>“グッド･モーニング･
アメリカ”</i>

656
00:49:39,977 --> 00:49:42,020
<i>一番人気のピザだ</i>

657
00:49:42,187 --> 00:49:43,563
<i>これよ</i>

658
00:49:43,814 --> 00:49:45,649
<i>あなたも欲しい？</i>

659
00:49:46,316 --> 00:49:47,192
<i>うまい</i>

660
00:49:47,859 --> 00:49:51,780
朝や深夜の全番組へ
出るまでになった

661
00:49:51,989 --> 00:49:54,408
<i>野菜を持ってきた</i>

662
00:49:54,783 --> 00:49:58,078
彼は番組の司会者に
冗談を言い―

663
00:49:58,954 --> 00:50:02,082
飾らずいつも自然体だった

664
00:50:02,374 --> 00:50:03,792
愛されたわ

665
00:50:03,959 --> 00:50:04,876
<i>レシピは？</i>

666
00:50:04,960 --> 00:50:07,921
<i>この道25年だ　すぐ思いつく</i>

667
00:50:08,005 --> 00:50:09,798
<i>僕より若い？</i>

668
00:50:09,881 --> 00:50:11,091
<i>かなりね</i>

669
00:50:12,843 --> 00:50:16,096
インタビューの依頼も続いた

670
00:50:16,221 --> 00:50:19,433
撮影も頻繁　すごかったわ

671
00:50:19,891 --> 00:50:21,601
<i>全員分ある</i>

672
00:50:23,937 --> 00:50:25,022
1980年代―

673
00:50:25,147 --> 00:50:29,151
クリーブランドの
レンタカー店に同行した

674
00:50:29,776 --> 00:50:33,280
すると店の女性が言ったの

675
00:50:33,363 --> 00:50:36,283
“ウルフギャング･パックよ”

676
00:50:36,366 --> 00:50:39,870
セレブシェフの
時代が始まったわ

677
00:50:40,037 --> 00:50:42,247
<i>どうも　パックです</i>

678
00:50:43,248 --> 00:50:44,624
<i>まさか</i>

679
00:50:44,791 --> 00:50:47,586
彼の成功には感心した

680
00:50:48,003 --> 00:50:50,756
アメリカ初の
スターシェフ

681
00:50:51,381 --> 00:50:56,094
フード番組に出演し
新たな需要を作った

682
00:50:56,261 --> 00:50:59,473
<i>“エメリル･ライブ”</i>

683
00:51:01,224 --> 00:51:02,142
<i>焼こう</i>

684
00:51:02,809 --> 00:51:03,560
<i>おはよう</i>

685
00:51:05,228 --> 00:51:07,230
彼は尊敬に値する

686
00:51:07,397 --> 00:51:11,818
ウルフギャングが
シェフの地位を一変させた

687
00:51:12,986 --> 00:51:18,450
テレビや料理対決に出て
後に続く道を作ったの

688
00:51:20,327 --> 00:51:22,954
<i>ウルフギャングはスター</i>

689
00:51:23,038 --> 00:51:25,957
<i>結婚式は
セレブ番組で放送</i>

690
00:51:26,416 --> 00:51:28,627
<i>彼はコックですよ</i>

691
00:51:29,628 --> 00:51:33,048
スターシェフは
大勢現れたが―

692
00:51:33,882 --> 00:51:35,967
彼が一番の大物だ

693
00:51:37,177 --> 00:51:38,303
<i>“ハリウッド”</i>

694
00:51:40,305 --> 00:51:43,475
<i>ポンコツで行こう
リムジンだ</i>

695
00:51:44,976 --> 00:51:47,896
<i>スパーゴは伝説の店</i>

696
00:51:47,979 --> 00:51:53,902
<i>所有し切り盛りするのは
伝説の料理人パック</i>

697
00:51:54,444 --> 00:51:59,658
<i>名を広く知られる
最も成功したシェフです</i>

698
00:51:59,908 --> 00:52:03,745
<i>小さな店を出すのが夢だった</i>

699
00:52:03,912 --> 00:52:06,164
<i>そして驚くほど稼いだ</i>

700
00:52:06,248 --> 00:52:10,043
<i>そのとおり
いい暮らしをしてる</i>

701
00:52:10,210 --> 00:52:13,713
<i>でもお金が原動力じゃない</i>

702
00:52:16,133 --> 00:52:20,387
ウルフギャングは
とてつもない成功を収め―

703
00:52:20,929 --> 00:52:22,597
尊敬もされた

704
00:52:23,765 --> 00:52:25,600
でもどこかで―

705
00:52:26,101 --> 00:52:29,396
放心してるような感じだった

706
00:52:30,605 --> 00:52:32,482
本当の彼は―

707
00:52:32,858 --> 00:52:35,443
おびえてるように見えた

708
00:52:36,987 --> 00:52:40,282
“一から出直すことに
なったら？”

709
00:52:40,490 --> 00:52:43,869
“馬車がカボチャに
戻ってしまえば？”

710
00:52:44,578 --> 00:52:46,746
だから走り続けた

711
00:52:48,081 --> 00:52:50,417
<i>よし 始めようか？</i>

712
00:52:50,667 --> 00:52:55,964
出演番組や記事のおかげで
さらに人気が爆発した

713
00:52:56,464 --> 00:52:58,717
強烈なほどにね

714
00:52:59,217 --> 00:53:04,139
<i>レストラン経営者賞は
ウルフギャング･パック</i>

715
00:53:04,598 --> 00:53:08,852
どの街でも出店や
ビジネスの誘いがある

716
00:53:09,227 --> 00:53:11,021
皆が組みたがった

717
00:53:14,941 --> 00:53:17,944
ジョニー･カーソンは
常連だった

718
00:53:18,403 --> 00:53:24,075
ある日 ピザをテイクアウトで
大量に持ち帰ってね

719
00:53:24,868 --> 00:53:28,496
何度か続いて
理由を聞いたら―

720
00:53:28,705 --> 00:53:32,918
うちのピザが好物で
冷凍してるという

721
00:53:33,919 --> 00:53:38,506
彼の言葉がきっかけで
冷凍ピザを始めた

722
00:53:42,177 --> 00:53:45,430
シェフが作った缶詰はあった

723
00:53:45,680 --> 00:53:50,769
プロの料理をさらに
家庭で提供する方法を―

724
00:53:50,936 --> 00:53:52,520
彼は考えたの

725
00:53:53,813 --> 00:53:56,816
こうしてブランドが生まれた

726
00:53:54,189 --> 00:53:55,774
<i>“カフェ
ウルフギャング･パック”</i>

727
00:53:57,067 --> 00:53:58,485
<i>世界的シェフ</i>

728
00:53:59,527 --> 00:54:01,279
<i>セレブシェフです</i>

729
00:54:02,447 --> 00:54:07,077
毎月カリフォルニアで
新しい店がオープンした

730
00:54:07,577 --> 00:54:09,329
そして世界へ

731
00:54:10,372 --> 00:54:12,958
信じられないくらいよ

732
00:54:13,124 --> 00:54:15,210
<i>素敵なセットです</i>

733
00:54:15,502 --> 00:54:19,965
スパーゴ･ラスベガスや
カフェも出店した

734
00:54:20,882 --> 00:54:24,219
あらゆることが開花したの

735
00:54:30,475 --> 00:54:34,688
すべてが高速で進み
何をしても大成功

736
00:54:35,563 --> 00:54:37,941
夢にも思わないほどさ

737
00:54:39,276 --> 00:54:43,238
それでも どこかで
満たされなかった

738
00:54:47,534 --> 00:54:50,078
<i>アトランタで会えて何より</i>

739
00:54:50,161 --> 00:54:54,082
<i>忙しいでしょ
冷凍ピザに店に―</i>

740
00:54:54,165 --> 00:54:56,334
<i>４ヵ月の赤ちゃん</i>

741
00:54:56,960 --> 00:54:59,254
<i>厄介事を回避できる</i>

742
00:54:59,337 --> 00:55:00,463
<i>確かに</i>

743
00:55:00,880 --> 00:55:03,383
もうすぐ父親になるが―

744
00:55:03,466 --> 00:55:07,053
我が子への
接し方が分からない

745
00:55:07,345 --> 00:55:08,430
不安だった

746
00:55:08,763 --> 00:55:12,100
義父のようにはなりたくない

747
00:55:13,560 --> 00:55:17,439
バーバラはずっと
子供を望んでた

748
00:55:17,981 --> 00:55:22,652
最初の子供ができたとき
僕は40歳になってた

749
00:55:23,194 --> 00:55:25,905
２人目は その数年後

750
00:55:26,865 --> 00:55:30,201
事業を急拡大してる時期だ

751
00:55:31,328 --> 00:55:36,750
彼は事業が失敗しないか
常に不安を抱えてたの

752
00:55:37,208 --> 00:55:39,127
子供の世話となると―

753
00:55:40,462 --> 00:55:43,173
主に私の役目だったわ

754
00:55:44,049 --> 00:55:45,967
彼はいつも店に

755
00:55:47,802 --> 00:55:51,723
<i>息子と過ごすべきだとは思う</i>

756
00:55:51,890 --> 00:55:54,684
<i>何とか家庭と仕事を―</i>

757
00:55:54,768 --> 00:55:57,395
<i>両立しようと努力してる</i>

758
00:55:57,479 --> 00:55:59,981
<i>レストランも子供だ</i>

759
00:56:02,400 --> 00:56:04,694
手広くやりすぎた

760
00:56:05,528 --> 00:56:08,656
だが絞り込むよう
助言しても―

761
00:56:09,074 --> 00:56:10,825
彼には難しい

762
00:56:11,743 --> 00:56:13,286
すべてを望む

763
00:56:14,162 --> 00:56:15,663
<i>料理をしない日は―</i>

764
00:56:16,081 --> 00:56:17,916
<i>ありますか？</i>

765
00:56:18,500 --> 00:56:22,962
<i>時には話さないと
会計士や弁護士や…</i>

766
00:56:23,171 --> 00:56:24,047
<i>記者？</i>

767
00:56:24,255 --> 00:56:26,841
<i>僕には最悪の日だ</i>

768
00:56:29,260 --> 00:56:32,430
子供のころ
父は働いてばかり

769
00:56:35,308 --> 00:56:38,686
小学生のとき
よく店に行った

770
00:56:38,853 --> 00:56:40,355
<i>バイロン･
ラザロフ=パック</i>

771
00:56:38,853 --> 00:56:42,273
週４回の夕食は
家族で過ごせたよ

772
00:56:40,438 --> 00:56:42,273
<i>ウルフギャングの息子</i>

773
00:56:44,067 --> 00:56:45,485
父がいたから

774
00:56:50,115 --> 00:56:54,577
彼はあまりに忙しく
家族を顧みない

775
00:56:54,744 --> 00:56:58,123
子供と本気で
絆を作りたいなら―

776
00:56:58,540 --> 00:57:00,250
一緒にいないと

777
00:57:00,417 --> 00:57:03,420
<i>君のオフィスはあっちだ</i>

778
00:57:03,628 --> 00:57:04,671
<i>何それ？</i>

779
00:57:06,256 --> 00:57:10,260
<i>あなたと私の冗談は
噛み合わないのよ</i>

780
00:57:15,640 --> 00:57:17,058
名コンビよ

781
00:57:17,559 --> 00:57:21,604
彼らほど息の合う
チームはなかった

782
00:57:24,065 --> 00:57:28,528
二人が組むと
成し遂げてしまう

783
00:57:28,987 --> 00:57:31,990
誰もできなかったことをね

784
00:57:35,201 --> 00:57:36,870
でも当時は―

785
00:57:37,078 --> 00:57:41,833
記者たちはすっかり
彼のとりこだったの

786
00:57:41,916 --> 00:57:44,377
個性的な魅力にね

787
00:57:42,792 --> 00:57:44,377
<i>ウルフギャング･パック
オーナーシェフ</i>

788
00:57:45,253 --> 00:57:48,047
バーバラにはショックよ

789
00:57:48,465 --> 00:57:52,135
夫と同じように
努力してきたのに―

790
00:57:52,218 --> 00:57:54,429
評価されなかった

791
00:57:54,596 --> 00:57:55,930
結果として―

792
00:57:56,598 --> 00:57:58,516
彼女は燃え尽きた

793
00:57:59,851 --> 00:58:08,735
<i>“離婚でレストラン帝国が
宙ぶらりんに”</i>

794
00:58:04,439 --> 00:58:08,735
まだ子供だったから
理解できなかった

795
00:58:10,111 --> 00:58:13,990
離婚すると
父と暮らせないんだと

796
00:58:16,826 --> 00:58:19,871
小学二年生の登校初日だった

797
00:58:19,954 --> 00:58:23,500
母が学校まで
僕を送り届けると―

798
00:58:23,583 --> 00:58:27,337
真剣な顔つきで
こう言ったんだ

799
00:58:27,420 --> 00:58:31,549
“両親や家のことを
誰かに聞かれても―”

800
00:58:31,841 --> 00:58:34,219
“答える必要ないわ”

801
00:58:34,302 --> 00:58:38,431
“友達に怒らず
すべてママに話しなさい”

802
00:58:38,598 --> 00:58:41,643
<i>“お互いにピザ帝国を</i>”

803
00:58:41,851 --> 00:58:45,980
<i>“ひと切れずつ
手にするのか？”</i>

804
00:58:42,185 --> 00:58:45,980
離婚は本当につらかった

805
00:58:49,192 --> 00:58:52,445
バーバラは
いつでも支えであり―

806
00:58:54,822 --> 00:58:57,742
ずっと僕を信じてくれた

807
00:59:03,122 --> 00:59:05,583
よく店で席に座り―

808
00:59:06,626 --> 00:59:08,336
窓の外を眺めた

809
00:59:09,504 --> 00:59:10,964
そして自問する

810
00:59:12,131 --> 00:59:13,132
“僕は誰？”

811
00:59:18,054 --> 00:59:19,389
“シェフ？”

812
00:59:21,933 --> 00:59:23,142
“レストラン？”

813
00:59:25,687 --> 00:59:27,480
“あるいはキャラクター？”

814
00:59:26,354 --> 00:59:28,690
<i>“ウルフギャング･
パック”</i>

815
00:59:28,773 --> 00:59:30,775
<i>“オーガニック･
トルティーヤ”</i>

816
00:59:29,524 --> 00:59:32,860
“決して満たされない男？”

817
00:59:57,051 --> 00:59:58,177
〈寒い〉

818
00:59:58,261 --> 00:59:59,387
〈ホントに〉

819
01:00:01,556 --> 01:00:04,058
〈こんな墓は御免だ〉

820
01:00:05,810 --> 01:00:07,395
〈ここは？〉

821
01:00:07,478 --> 01:00:10,106
〈他の人の区画よ〉

822
01:00:11,316 --> 01:00:12,317
〈農家のね〉

823
01:00:15,361 --> 01:00:16,821
〈我が家の場所〉

824
01:00:23,661 --> 01:00:27,373
〈おばあちゃんが
死んだときは？〉

825
01:00:27,707 --> 01:00:28,541
〈店に〉

826
01:00:28,625 --> 01:00:30,043
〈ボーマニエールね〉

827
01:00:32,086 --> 01:00:33,838
〈連絡つかなくて〉

828
01:00:34,172 --> 01:00:36,215
〈店は分かってたけど〉

829
01:00:36,299 --> 01:00:37,508
〈無理だった〉

830
01:00:37,592 --> 01:00:40,637
〈電話のない時代よ〉

831
01:00:41,888 --> 01:00:43,640
〈伝える手段がない〉

832
01:00:52,607 --> 01:00:58,029
〈人は年を取るほど
過去を振り返るものよ〉

833
01:00:58,112 --> 01:01:00,740
〈自分を見つめるの〉

834
01:01:11,459 --> 01:01:13,711
〈兄には分かるはず〉

835
01:01:14,337 --> 01:01:17,632
〈どんな過ちを犯し―〉

836
01:01:18,466 --> 01:01:20,176
〈どう変わるべきか〉

837
01:01:29,852 --> 01:01:34,190
これまでの人生
ずっと失敗を恐れてきた

838
01:01:35,858 --> 01:01:38,528
後戻りするのが怖い

839
01:01:41,906 --> 01:01:44,826
野心を持ち続けてきた

840
01:01:45,785 --> 01:01:47,286
成功したいと―

841
01:01:48,121 --> 01:01:50,248
上ばかり目指す

842
01:01:52,542 --> 01:01:54,127
だが最後は―

843
01:01:54,919 --> 01:01:59,340
自分のことや
人生の目的まで見失った

844
01:02:17,191 --> 01:02:20,987
子供時代の思い出は
消せないものよ

845
01:02:23,322 --> 01:02:28,327
オーストリア時代の記憶は
彼のＤＮＡに刻まれてる

846
01:02:32,248 --> 01:02:34,375
良くないこともね

847
01:02:36,961 --> 01:02:37,712
彼は―
&nbsp;

848
01:02:37,795 --> 01:02:42,300
料理をすることで
書き直してるのかも

849
01:02:42,675 --> 01:02:44,719
自分自身の物語を

850
01:02:49,015 --> 01:02:52,143
彼が料理を志したのは―

851
01:02:52,477 --> 01:02:58,316
食品会社の経営や番組
チェーン展開のためじゃない

852
01:03:00,735 --> 01:03:03,070
きっかけは料理を愛し―

853
01:03:04,030 --> 01:03:06,282
生きがいを感じたからよ

854
01:03:15,082 --> 01:03:17,418
〈兄は義父を許さない〉

855
01:03:18,753 --> 01:03:23,257
〈でも大事なのは
過去を受け入れて―〉

856
01:03:25,051 --> 01:03:29,096
〈苦しみを手放す方法を
学んだことよ〉

857
01:03:35,353 --> 01:03:39,899
これまでの人生では
義父を憎み続け―

858
01:03:40,733 --> 01:03:42,568
見返そうとした

859
01:03:44,904 --> 01:03:47,698
だが振り返ってみれば―

860
01:03:48,074 --> 01:03:52,245
試練のおかげで
強くなったとも言える

861
01:03:55,456 --> 01:03:56,707
気付いたよ

862
01:03:57,291 --> 01:04:01,629
逃げる人生などでは
決してなかった

863
01:04:04,298 --> 01:04:07,718
愛するモノを追求してきたと

864
01:04:39,917 --> 01:04:43,796
生きるなかで
我々は過ちを犯す

865
01:04:46,090 --> 01:04:50,887
過去を振り返り
悔やんだところで意味がない

866
01:04:54,140 --> 01:04:56,642
時間のムダになるだけ

867
01:04:57,476 --> 01:05:01,522
過去にとらわれれば
未来を語れない

868
01:05:01,689 --> 01:05:04,775
可能性や新たな展開を

869
01:05:07,862 --> 01:05:12,742
ビバリーヒルズへ
店を移転したとき―

870
01:05:13,367 --> 01:05:16,662
何かを変えようと心に決めた

871
01:05:18,331 --> 01:05:21,334
マ･メゾンではフランス料理

872
01:05:22,001 --> 01:05:25,463
スパーゴでは
カリフォルニア料理

873
01:05:26,172 --> 01:05:28,174
シノワではアジア料理

874
01:05:29,759 --> 01:05:34,472
オーストリアは
料理人としての原点だった

875
01:05:35,264 --> 01:05:36,307
なのに―

876
01:05:36,474 --> 01:05:39,226
地元の料理を手がけてない

877
01:05:39,602 --> 01:05:40,394
決まった

878
01:05:40,686 --> 01:05:42,813
メニューに載せる

879
01:05:52,740 --> 01:05:56,994
母の得意料理
ウィーン風カツレツ

880
01:05:58,621 --> 01:06:02,500
僕の好物
レバー団子入りのスープ

881
01:06:03,501 --> 01:06:06,671
それから
クレープとパンケーキ

882
01:06:08,881 --> 01:06:11,217
どれも よく覚えてる

883
01:06:11,425 --> 01:06:15,930
母の味であり
家族の特別な思い出だ

884
01:06:19,308 --> 01:06:23,104
幼いころに食べた味は
忘れられない

885
01:06:24,146 --> 01:06:27,942
ビバリーヒルズの店では―

886
01:06:28,025 --> 01:06:32,279
思い出の味が
晴れてメニューに加わった

887
01:06:32,363 --> 01:06:36,617
定番メニューに
なるかどうかは関係ない

888
01:06:39,245 --> 01:06:42,164
いざ始めたら大人気

889
01:06:42,832 --> 01:06:44,000
おいしいの

890
01:07:03,644 --> 01:07:05,563
彼は多彩だけど―

891
01:07:06,313 --> 01:07:10,359
シェフでいるのが
何よりも似合ってる

892
01:07:10,484 --> 01:07:12,820
シェフの正装をして―

893
01:07:13,779 --> 01:07:16,574
コンロの前に立つ姿がね

894
01:07:20,161 --> 01:07:25,082
彼の最大の功績は
料理する喜びを広めたこと

895
01:07:31,964 --> 01:07:34,133
彼は心根が暖かい

896
01:07:34,216 --> 01:07:37,762
いるだけで その場が華やぐ

897
01:07:40,890 --> 01:07:42,308
食事とは―

898
01:07:42,892 --> 01:07:45,936
彼にとって愛の導火線なの

899
01:07:51,108 --> 01:07:56,238
ウィーン風カツレツは
思いがけず大好評でね

900
01:07:59,325 --> 01:08:01,118
気付かされたよ

901
01:08:01,660 --> 01:08:04,371
僕にとって食事は家族

902
01:08:05,790 --> 01:08:09,835
人を幸せにするのが
生きがいなんだ

903
01:08:29,188 --> 01:08:32,191
面白いことに
日々の生活では―

904
01:08:32,942 --> 01:08:36,112
人生の短さなど意識しない

905
01:08:39,240 --> 01:08:40,574
今の僕は―

906
01:08:41,492 --> 01:08:44,912
以前より時間を惜しんでる

907
01:08:50,459 --> 01:08:51,502
なぜです

908
01:08:53,087 --> 01:08:56,048
過ごせる夏は残り少ない

909
01:09:11,772 --> 01:09:12,731
順調？

910
01:09:12,940 --> 01:09:13,858
はい

911
01:09:14,984 --> 01:09:16,318
パンは？

912
01:09:16,861 --> 01:09:18,320
ブリオッシュ

913
01:09:18,445 --> 01:09:19,405
そうか

914
01:09:20,656 --> 01:09:21,657
それは？
&nbsp;

915
01:09:21,740 --> 01:09:23,784
チョコ･クッキーを
&nbsp;

916
01:09:23,868 --> 01:09:25,703
焼き色を付けろ

917
01:09:26,203 --> 01:09:28,539
白いのはもうダメだ

918
01:09:28,622 --> 01:09:29,832
そうですね
&nbsp;

919
01:09:31,000 --> 01:09:35,671
一番の誇りは
息の長い仕事をしてること

920
01:09:37,089 --> 01:09:38,799
マグロの味は？

921
01:09:40,593 --> 01:09:46,015
長く商売を続けるには
たゆまぬ努力は不可欠

922
01:09:46,098 --> 01:09:47,600
焼きすぎるな

923
01:09:48,767 --> 01:09:52,146
常に変化を受け入れること

924
01:09:54,273 --> 01:09:59,361
新しいアイデアは
若者がもたらしてくれる

925
01:10:00,779 --> 01:10:01,739
全部だ

926
01:10:03,949 --> 01:10:09,622
ありがたいことに
才能あふれる若手は大勢いる

927
01:10:09,830 --> 01:10:11,874
息子のバイロンも

928
01:10:13,292 --> 01:10:14,752
卵は入れる？

929
01:10:15,961 --> 01:10:17,129
手伝おう

930
01:10:19,131 --> 01:10:20,841
殻には注意だ

931
01:10:21,634 --> 01:10:22,468
よし

932
01:10:23,886 --> 01:10:27,848
13歳のとき
ジャガイモの皮むきを

933
01:10:28,599 --> 01:10:34,230
現場を指揮する父の姿に
子供ながらに感動したよ

934
01:10:39,068 --> 01:10:41,070
何でも手本にした

935
01:10:42,655 --> 01:10:47,034
恵まれた環境だし
この仕事に挑戦するよ

936
01:10:47,117 --> 01:10:50,496
情熱を注ぎ
一生をささげたい

937
01:10:53,874 --> 01:10:54,833
いいね

938
01:10:55,626 --> 01:10:56,460
もう少し

939
01:10:56,543 --> 01:10:58,462
カリカリがいい

940
01:11:00,756 --> 01:11:03,676
今では同じシェフであり―

941
01:11:04,426 --> 01:11:08,055
世界一の師匠として
応援してくれる

942
01:11:09,181 --> 01:11:11,600
母さんの揚げ物みたいだ

943
01:11:14,103 --> 01:11:18,440
バイロンが料理の道を
本気で志したことは―

944
01:11:18,816 --> 01:11:22,069
この上ない喜びだったはず

945
01:11:22,152 --> 01:11:26,115
自分と同じ道を
息子が歩んでくれる

946
01:11:26,240 --> 01:11:27,616
感激でしょ

947
01:11:28,325 --> 01:11:30,244
楽しんでますか

948
01:11:30,327 --> 01:11:31,287
とても

949
01:11:35,457 --> 01:11:37,376
若いころは―

950
01:11:38,002 --> 01:11:41,338
シェフの仕事に没頭しすぎた

951
01:11:41,672 --> 01:11:44,174
成功を夢見るあまり―

952
01:11:44,258 --> 01:11:48,554
父親としての役目を
ないがしろにした

953
01:11:50,806 --> 01:11:55,477
今は息子と一緒に
仕事ができて最高だよ

954
01:11:56,437 --> 01:12:00,941
子供の活躍ほど
うれしいことはない

955
01:12:06,697 --> 01:12:07,865
ダメよ

956
01:12:07,948 --> 01:12:10,409
まな板に置いて

957
01:12:11,160 --> 01:12:14,371
玉ねぎを切りたくないわ

958
01:12:14,455 --> 01:12:15,664
やろう

959
01:12:15,748 --> 01:12:18,375
ウルフギャングをこき使う

960
01:12:19,126 --> 01:12:21,170
はい　早く切って

961
01:12:21,795 --> 01:12:23,380
玉ねぎ係だ

962
01:12:23,464 --> 01:12:25,424
僕でもよかった

963
01:12:26,175 --> 01:12:29,219
見てて　端から切るんだ

964
01:12:29,303 --> 01:12:31,305
切り込みを入れる

965
01:12:31,388 --> 01:12:32,639
了解

966
01:12:34,516 --> 01:12:35,851
おいしい

967
01:12:35,934 --> 01:12:39,313
今になって
振り返るときがある

968
01:12:39,396 --> 01:12:44,276
やり直せるとすれば
家族との時間を増やす

969
01:12:44,818 --> 01:12:47,071
子供の成長を見逃した

970
01:12:49,990 --> 01:12:50,824
イケる

971
01:12:51,909 --> 01:12:52,743
もういい

972
01:12:52,826 --> 01:12:54,536
僕のチーズだ

973
01:12:54,912 --> 01:12:59,500
今はゲリラと再婚し
息子２人に恵まれた

974
01:12:59,792 --> 01:13:02,419
かけがえのない時間だよ

975
01:13:03,504 --> 01:13:04,880
キスはダメ

976
01:13:08,300 --> 01:13:09,510
食べるか？

977
01:13:12,429 --> 01:13:13,806
息子たちに

978
01:13:14,264 --> 01:13:15,766
ご苦労さん

979
01:13:16,016 --> 01:13:17,017
乾杯

980
01:13:17,935 --> 01:13:18,769
乾杯

981
01:13:19,686 --> 01:13:23,065
手本となる人生は大切なの

982
01:13:24,566 --> 01:13:28,070
自身の経験から
彼は愛情深くなり

983
01:13:25,150 --> 01:13:28,070
<i>ゲリラ･アセファ･パック
ウルフギャングの妻</i>

984
01:13:29,363 --> 01:13:35,035
家族と再び絆を作り
望んだとおりの自分になれた

985
01:13:38,122 --> 01:13:40,624
いい影響を与えられる

986
01:13:40,791 --> 01:13:43,419
子供たちだけでなく―

987
01:13:43,585 --> 01:13:47,673
さまざまな困難に
立ち向かう人々にもね

988
01:13:49,466 --> 01:13:51,427
素敵な生き方よ

989
01:14:02,146 --> 01:14:04,690
父は最高の お手本だよ

990
01:14:04,773 --> 01:14:09,194
ゼロから始めて
すごいモノを築き上げた

991
01:14:09,820 --> 01:14:11,113
最高だ

992
01:14:16,910 --> 01:14:20,914
彼の物語から
学ぶべきことがある
&nbsp;

993
01:14:21,248 --> 01:14:22,749
自分を信じ―

994
01:14:22,958 --> 01:14:25,711
特技やチャンスを生かすこと

995
01:14:25,919 --> 01:14:28,088
きっと成功できる

996
01:14:34,720 --> 01:14:39,600
今ではそれこそ
大勢がシェフを志してる

997
01:14:39,683 --> 01:14:42,936
ウルフギャングに憧れ―

998
01:14:43,395 --> 01:14:45,981
彼の物語を胸にね

999
01:14:48,984 --> 01:14:53,113
何より恐れないことを
彼から学んだよ

1000
01:14:54,615 --> 01:14:58,327
献身的で
犠牲をいとわぬ姿勢

1001
01:14:58,785 --> 01:15:01,455
尊敬されるシェフだ

1002
01:15:03,081 --> 01:15:04,750
かなり熱いぞ

1003
01:15:05,167 --> 01:15:06,168
ナイフ？

1004
01:15:11,965 --> 01:15:15,761
彼は愛の大切さを
教えてくれた

1005
01:15:17,513 --> 01:15:20,432
全身全霊を傾けて―

1006
01:15:20,807 --> 01:15:23,602
愛することに打ち込むこと

1007
01:15:25,020 --> 01:15:26,772
人生は充実する

1008
01:15:34,238 --> 01:15:37,824
人生には
何か目標が必要だ

1009
01:15:40,702 --> 01:15:42,496
苦労もあるさ

1010
01:15:43,038 --> 01:15:47,709
でも信じると決めたら
その夢を追うべきだ

1011
01:15:54,466 --> 01:15:56,385
願わくば―

1012
01:15:56,510 --> 01:15:59,429
大好きなことをしてたい

1013
01:16:01,098 --> 01:16:03,100
息絶える瞬間まで

1014
01:16:09,231 --> 01:16:11,233
日本版字幕　瀬尾友子

